モトリーフール米国本社、2022年3月21日投稿記事より

主なポイント

・アップルは、利益率の高いサービス部門への依存度を高める意向
・バークシャー・ハサウェイは多様な事業を保有し、卓越した投資実績を誇る

これら2銘柄のアウトパフォームは実証済み

2022年の株式市場は好調とは言えません。本稿執筆時点において、米国の3つの主要株価指数はいずれも年初来で大幅なマイナス圏にあり、中でもナスダック総合指数は最も下落幅が大きく11%安となっています。現在の地政学的緊張と、世界経済への影響を考えると、年内に市場の暴落を懸念している投資家も多いのではないでしょうか。

当然ながら、市場が暴落するかどうかは誰にも分かりませんが、前もって準備しておいて損はありません。そして、その際には、ウォーレン・バフェット氏の手法を参考にすると良いかもしれません。「オマハの賢人」と呼ばれるバフェット氏は、景気後退は優れた企業の株式を安く買う絶好の機会であると考えており、景気後退を恐れないことで知られています。

バフェット氏のお気に入り銘柄のうち、次に市場が暴落した時に買っておきたい銘柄として、アップル(AAPL)とバークシャー・ハサウェイ(BRK.A、BRK.B)の2社に注目してみましょう。

1.アップル

一見すると、アップルは景気後退時に買っておきたい銘柄とは思えないかもしれません。同社はiPhoneをはじめとする洗練されたハイテク機器で知られるテクノロジー企業です。アップル製品はどれも最高品質で、決して安くはありません。経済が問題に直面し、株式市場が暴落した時、消費者はまずiPhoneのような高級品の購入を控えると思われます。

しかし、もっと大局的に見ると、過去の弱気相場の持続期間が平均9.6ヶ月であるのに対し、強気相場の平均期間は2.7年に上ります。

また、経済も、好況期に比べて、不況期の方が短い傾向にあります。次の景気後退(いつ起こるかも分かりません)でアップル株が下落したとしても、状況が落ち着けば、株価は目覚ましく上昇するはずです。実際に、過去3年の間に新型コロナウイルス感染拡大による景気後退や弱気相場を経験しましたが、アップルの株価は市場を大幅にアウトパフォームしています。

さらに、アップルはハードウェアへの依存の低減を目指しています。現時点では、売上の大半を製品部門が占めています。2021年9月期の総売上高は3,658億ドルで、前年比で33.3%の増収でした。

アップルのネット売上高のうち、製品部門は約81%を占めています。しかし、iCloud、Apple TV+、Apple One、Apple Musicなどを提供するサービス部門は利益率が格段に高く、重要性はますます高まっています。2021年9月期では、製品部門の粗利益率は35.3%でしたが、サービス部門は2倍近い69.7%でした。

ハイテク企業のリーダーとしてこれまで築き上げてきた強力なブランド力があるため、少なくとも当面は、製品部門から堅実な売上を生み出し続けるでしょう。一方で、これまでに構築してきたエコシステムのおかげで、サービス部門の重要性は一段と上昇するとみられます。このことから、アップルはこれまで以上にユーザーを収益化する方法を見出すと予想され、利益の大幅な増加が期待されます。これが、市場が暴落した後でもアップルが優れた買い持ち銘柄であり続ける理由です。

2.バークシャー・ハサウェイ

バフェット氏は、自身が率いる企業の株式を積極的に購入しています。バークシャー・ハサウェイは過去2年間に、2019年末時点の発行済み株式の9%(総額517億ドル)を買い戻しました。バフェット氏のやり方に従ってバークシャー・ハサウェイの株式を買えば、景気後退を乗り越え、市場を上回るリターンを得られるかもしれません。

バークシャー・ハサウェイは複合企業であり、自動車保険のガイコ、アパレルのフルーツオブザルーム、電池ブランドのデュラセルなど、多くの有名企業を100%保有しています。保険事業や製造業をはじめ、エネルギー企業や公益企業も傘下に名を連ねています。バークシャー1社に投資することで、一般的な投資家が分散投資する以上の分散効果を得ることができます。しかもそれだけではありません。

バフェット氏が率いるチームは保有する膨大な現金を使って、さまざまな優良企業を次々と買収しています。これこそ、バークシャー株を買う最大の理由でしょう。バークシャーに投資することで、バフェット氏と、同社の副会長であるチャーリー・マンガー氏の両方を味方に付けることができるのです。

この2人は、史上最高の投資家として広く知られています。両氏が指揮を執るバークシャーは、数々の景気後退や市場下落を乗り越え、市場を上回るパフォーマンスを上げてきました。

ビジネスを成功に導く手腕を実証してきたバフェット氏とマンガー氏ですが、共に90歳代であり、後継者は既に決まっている模様です。後継者とされているのは、保険以外の事業を統括するグレゴリー・アベル副会長です。マンガー氏は、アベル氏がバークシャーの企業文化を維持してくれるはずだと強調しています。

これこそ、バークシャー株が今後も好調に推移し続けるかどうかを見極めるための判断材料であり、投資家が知りたかったことに他なりません。2022年、株式市場が暴落し、バークシャーの株価が下落したら、絶好の買い場と思われます。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Prosper Junior Bakinyは、記載されているどの銘柄にもポジションを持っていません。モトリーフールは アップル と バークシャー・ハサウェイ(B shares)の株式を所有し、推奨しています。モトリーフールはナスダックを推奨しており、以下のオプションを推奨しています。バークシャー・ハサウェイ(B shares)の2023年1月200ドルコールのロング、アップルの2023年3月120ドルコール、バークシャー・ハサウェイ(B shares)の2023年1月200ドルプットのショート、バークシャー・ハサウェイ(B shares)の2023年1月265ドルのコール、アップルの2023年3月130ドルコールのショート。