毎週月曜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問に広木隆が回答いたします。回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

Q.東証再編を実施する意味とは

ゆーすけ様からのご質問

東証の再編について質問です。

企業側に配慮した内向き思考が透けて見え、日本株上昇には繋がらないと思います。

実施する意味はあるのでしょうか。

回答

東証1部に上場する2,180社(2022年3月17日時点)のうちプライム市場移行を選択した企業数は1,841社と全体の84%にのぼる。このうちプライムの上場維持基準に適合していない企業が296社あるが、それらは基準適合に向けた計画を開示すればプライム市場に移行できる。しかも、いつまでに基準適合要件をクリアしなくてはならないかという期限すら設定されていない。今回の改編が「骨抜きの改革」と言われるゆえんである。

年金基金をはじめ多くの機関投資家が日本株運用のベンチマークとするTOPIXは原則、東証1部上場企業をすべて構成銘柄とする。2,000社を超える銘柄数は明らかに「玉石混交」である可能性が高く、流動性の劣る銘柄も多く含まれる。すなわち、質的な面でも流動性の面でも日本を代表する市場とそれを反映するベンチマークにふさわしくない、というのが改革の出発点だった。

ただ、日本株運用のベンチマークの銘柄数が問題なら、TOPIX500を使えばいいだけの話ではないか、と僕は当初から各方面でコメントしてきた。米国株の代表的ベンチマークであるS&P500はその名の通り、基本的に500銘柄から構成される。TOPIX500なら銘柄数は同数だ。

だが、本当に銘柄数だけの問題だろうか。昨今のパッシブ運用全盛の時代、TOPIXに含まれる銘柄は自動的に機関投資家の大規模資金によってバイ・アンド・ホールドされる。それが企業のモラルハザードを歪めるという指摘がある。

また、東証が市場の在り方について市場関係者からヒアリングを行った中には、低ROE企業やコーポレートガバナンスが劣る企業が多く含まれるということを問題視する声もあった。だが果たしてそれが運用上の ー 少なくともパフォーマンス面での ー 問題となるだろうか。

グラフ1を見てほしい。グラフ1はTOPIX、TOPIX100、JPX日経400の3指数の過去10年の推移である。TOPIX100は時価総額上位100社から構成される指数であり、JPX日経400はROEや営業利益、時価総額等の流動性にガバナンス面の定性判断も加味して選出される銘柄で構成される。どちらも我が国を代表する優良企業から成る指数だ。

グラフ1:TOPIX、TOPIX100、JPX日経400の3指数の過去10年の推移
出所:Bloomberg

しかし、グラフから分かる通り、10年間のパフォーマンスはどちらの指数もTOPIXとほとんど同じリターンだ。銘柄数をトップ100社に絞ろうが、ROEやガバナンス面を考慮しようが、玉石混交だと言われるTOPIXとまったく変わらないのである。

ここに問題の本質がある。インデックスをどうするか、というのは「パイをどう切り分けるか」という議論である。肝心のパイ自体をもっとおいしくする(質)・大きくする(量)ことのほうが何倍も重要である。日本の上場企業の魅力そのものが劣っていては、それらをどう組み合わせて指数を作っても誰にも相手にされない。もちろん、それは取引所だけの責務ではなく、上場企業や投資家をはじめ市場関係者すべての課題である。

ただ、今回の市場改編の思わぬ副産物は、本来プライムに残れない企業の中で真剣に企業改革に取り組む姿勢を見せる企業が現れたことだ。こうした取り組みが多くの企業に広がるのであれば、もっとドラスティックにプライム市場とTOPIXの銘柄数を絞る意味が出てくるだろう。

Q.もしリセッションになったら株価はどうなりますか?

武藤様、MK様からのご質問

■戦争によって資源価格が上がりインフレが加速、そこに利上げ、量的緩和。リセッションになるのではと心配です。これだと日経平均は年末3万円まで戻らないのではないでしょうか。(武藤様)

■リセッションとなれば株価はどうなりますか。どういうふうに対応すればよいのでしょうか?(MK様)

回答

武藤様、心配ご無用です。すでに原油価格はピークアウトの兆しが出ています。そして何より10年債利回りが上昇しています。これは景気の先行きに明るい見通しを市場が持ち始めたからです。

MK様、過去のリセッションは90年代初頭の商業用不動産のバブル崩壊、2000年ITバブル崩壊、2008年リーマンショックのクレジットバブル崩壊とすべてバブル崩壊が引き金になって起きています。現代の経済はバブルとその清算で拡大・縮小の大きな波動ができるようになっていますが、リーマンショックの打撃があまりに大きく、その反省からなかなかバブルが起きにくくなっています。

コロナはバブルの側面もありますが少しパターンが違います。結論から言って、リセッションには至らないでしょう。また、リセッションになりそうであれば、即座にFRBは金融緩和に転じますので、結局、「不景気の株高」となります。

Q.個別銘柄投資よりもインデックス投資の方がいいのでしょうか?

nanao様からのご質問

ここまで個別銘柄中心に戦ってきましたが、今回のような危機が起きるたびに心が折れてしまいます。

毎月定額積み立てのインデックス投資にして心安らかに過ごすのが本当は正しいのでしょうか。

回答

毎月定額積み立てのインデックス投資は非常に良い投資手法です。ご指摘の通り、精神的にも楽です。要は、(精神面も含めて)リスクをどの程度とるかです。

個別数銘柄はリスク大で期待リターンも大。インデックスはリスクが少ないですがそれに見合ったリターンだということです。

Q.相場下落時の広木さんの投資行動は?

バンビ様からのご質問

広木さんは2018年の秋からクリスマスまで下げた時や2020年のコロナショック時はご自分の資産についてどのような投資、資産管理行動をしましたか?

そして、今回の調整にはいつ、どのような対策を取りましたか?違いがあるとすれば、何ですか?

回答

下に大きく突っ込んだ時は常に買いを入れています。

今回もまた同様です。

Q.原油関連で追加投資はするべきか

ターコイズブルー様からのご質問

先週のMonday Night Liveで原油は今がピークとおっしゃっていたので原油先物を売りました。今後上昇しそうなファンドについて教えてください。

有力産油国が増産に動くとの見方がありますが、アラブ株式ファンドは上昇しそうでしょうか。

回答

原油先物売りで大正解でしたね。

原油関連はもうこれだけにして、あとは別のテーマに目を向けるのがよいのではないでしょうか。


このコーナーでは、毎週月曜夜21時から開催している「広木隆のMonday Night Live」でいただいたご質問のうち、セミナー内で回答しきれなかったご質問にチーフ・ストラテジストの広木隆が回答いたします。

今回は2022年3月14日のセミナーで寄せられたご質問から抜粋して回答しています。

回答対象とするご質問は、サイトへの掲載を考慮して選択採用とさせていただきます点についてご了承くださいますようお願いいたします。

 

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