【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 34,063.10 △518.76 (3/16)
NASDAQ: 13,436.55 △487.93 (3/16)
1.概況
米国市場はウクライナのゼレンスキー大統領がロシアとの停戦に向けた交渉に現実味が出てきたと述べたことや、中国政府が景気対策や米中の企業会計監査を巡る対立の解決に向けて動いていると伝わったことで大幅続伸となりました。109ドル高でスタートしたダウ平均は上げ幅を大きく広げるとまもなくして531ドル高まで上昇しましたが、その後伸び悩むと午後に発表となったFOMCの結果を受けて利上げペースが加速するとの見方から売りが優勢となりマイナスに転じ153ドル安まで下落しました。
しかし、パウエル議長が強い景気認識を示したこともあって売り一巡後に持ち直し引けにかけて大きく上げ幅を広げると結局518ドル高の34,063ドルで取引を終え3日続伸となりました。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も487ポイント高の13,436ポイントと続伸となり4%近い上昇となっています。
2.経済指標等
米連邦公開市場委員会(FOMC)はゼロ金利政策を解除し政策金利を0.25ポイント引き上げ0.25-0.5%とすることを決めました。利上げは2018年12月以来3年3ヶ月ぶりとなります。また、参加者による政策金利の見通しからみた年内の利上げ回数は1回の利上げを0.25ポイントとした場合、今回を含め7回となり前回12月会合の3回から大幅に増えました。2023年も4回と前回の3回から増えています。資産圧縮についてはパウエル議長が会見で議論は最終段階にあるとし、最終決定ではないが早ければ5月会合でもありうるとの見解を示しています。
さらに2月の米小売売上高は前月比0.3%増に止まり市場予想を下回りました。3月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数も79となり市場予想を下回りました。2月の米輸入物価指数も前月比1.4%上昇に止まり市場予想を下回っています。一方で米輸出物価指数は前月比3.0%上昇し市場予想を上回りました。1月の米企業在庫は前月比1.1%増となり市場予想と一致しています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が上げ、一般消費財・サービスと情報技術が3%を超える上昇となり、コミュニケーション・サービスと金融も3%近く上げています。一方でエネルギーと公益事業の2業種が下げています。
4.個別銘柄動向
主力小型機737MAXの中国への出荷が近く再開されるとの期待からボーイング(BA)が5%余り上げダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなりました。また、主力ハイテク株の上昇が目立ちフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズ(FB)が6%高となり、電気自動車のテスラ(TSLA)も5%近く上昇しました。動画配信のネットフリックス(NFLX)も4%高となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)とグーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も3%以上上げています。アップル(AAPL)も3%近く上昇しました。
半導体株も高く投資判断の引き上げを受けてマイクロン・テクノロジー(MU)が9%近く上げ、エヌビディア(NVDA)も6%以上上昇しました。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とウエスタンデジタル(WDC)も5%以上上げ、インテル(INTC)とクアルコム(QCOM)も4%を上回る上昇となっています。
長期金利の上昇を受けて大手金融株も高くモルガン・スタンレー(MS)が6%を超える上昇となり、JPモルガン・チェース(JPM)も4%以上上げました。バンク・オブ・アメリカ(BAC)とシティーグループ(C)、ゴールドマン・サックス(GS)も3%以上上昇しています。さらに中国の副首相が米国市場に上場する中国株の監査問題にも取り組む姿勢を示したことから上場廃止への懸念から大きく売られていた中国株の米預託証券(ADR)に買い戻しが入りアリババ集団(BABA)が36%を超える上昇となり、JDドットコム(JD)も39%以上上げています。
5.為替・金利等
長期金利はFOMC の結果を受けて0.05%高い2.19%となりました。ドル円は118円台後半で推移しています。一時は119円台前半まで円安が進む場面もありました。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株高を受けて上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の26,000円を超えてきそうで、25日移動平均線(昨日時点で26,338円)を回復できるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)