東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均はウクライナ情勢の一段の緊迫化を受けて大幅反落となりました。155円安の26,421円で寄り付いた日経平均は大きく下げ幅を広げ節目の26,000円を割り込み10時20分前に802円安の25,774円まで下落しましたが、前引けにかけて持ち直すと556円安の26,020円で前場を終えました。622円安の25,955円でスタートした後場の日経平均は12時50分に706円安の25,870円まで下落した後下げ渋り下げ幅を縮めると結局591円安の25,985円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落し、東証マザーズ指数が4.1%安となっています。

2.個別銘柄等

目標株価の引き上げを受けて大手海運3社が上げ幅を広げる場面があり揃って昨年来高値を更新しました。日本郵船(9101)が一時3.7%高となったほか、商船三井(9104)が一時7.5%高、川崎汽船(9107)も一時4.8%高となりました。しかし、川崎汽船は朝方の買い一巡後に下落に転じ引けは0.5%安となっています。ウクライナ情勢が一段と緊迫化するなか防衛関連銘柄も買いを集める場面があり三菱重工業(7011)が目標株価の引き上げもあって一時5.9%高となり昨年来高値を更新したうえ、石川製作所(6208)も一時10.4%高となりました。東京計器(7721)も一時4.3%高となり昨年来高値を付け、ジャスダック市場では重松製作所(7980)が一時13.1%高、細谷化工(4274)も一時8.4%高となりました。リコー(7752)も4.0%高となりました。2023年3月期までの中期経営計画の進捗状況についての説明会を開き営業利益を1000億円にするとの目標を改めて示したことが好感されました。

一方で日野自動車(7205)が後場に急落し昨年来安値を更新しました。11時30分過ぎにエンジンの排出ガスなどの数値について不正なデータを国に提出して生産に必要な認証を取得し一部のエンジンが法律で定められた基準を満たしていない疑いがあると伝わったことで売りが膨らみ一時23.9%安となる場面がありました。また、昨日の米国市場で主要な半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2%を超える下落となったことで半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)、SCREENホールディングス(7735)、アドバンテスト(6857)などが安く、東京エレクトロンが3.8%安、レーザーテックが5.9%安、SCREENホールディングスとアドバンテストも4.1%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は591円安となりました。ウクライナ情勢が引き続き相場の重石となりハイテク株を中心に売りが出て昨日の米国市場が反落となったことで下落して始まると、ロシア軍がウクライナにある欧州最大規模のザポロジエ原発を砲撃し火災が発生していると伝わったことで一時800円以上下げ節目の26,000円を割り込み先月24日に付けた昨年来安値(25,970円)を下回る場面もありました。しかし、原子力発電所で発生した火災が鎮火したと伝わったこともあってやや持ち直し昨年来安値を小幅に上回って取引を終えています。ウクライナ情勢に一喜一憂する展開が続いていますが、こうしたなかで来週もウクライナ情勢の動向をにらみながら不安定な相場が続くことになりそうです。なお、日本時間の22時30分に2月の米雇用統計が発表される予定ですが、今後の米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を占ううえで重要な経済指標であることからマーケットの注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)