東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均はウクライナ情勢の一段の緊迫化を受けて大幅に4日続落となりました。395円安の26,515円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で542円安の26,368円まで下落した後10時10分前に360円安の26,550円まで戻しましたが、上値は重く再び下げ幅を広げると11時過ぎに605円安の26,305円まで下落し582円安の26,327円で前場を終えました。613円安の26,296円でスタートした後場の日経平均は12時40分前に667円安の26,243円まで下落した後押し目買いが入り14時30分前に416円安の26,494円まで持ち直しましたが、節目の26,500円を前に上値が押さえられると結局461円安の26,449円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って昨年来安値を更新しています。

2.個別銘柄等

第一三共(4568)が9.6%高となりました。英製薬大手のアストラゼネカと共同開発する乳がん患者を対象とした抗がん剤について第3相臨床試験(治験)で主要評価項目を達成したと発表したことが材料視されました。カラオケチェーンのコシダカホールディングス(2157)も一時4.9%高となりました。大幅に遅れていた昨年度に関連する協力金の地方自治体からの支払いが年明けから進んだことから上期の経常利益の見通しを上方修正したことで買いが優勢となりました。また、投資判断と目標株価の引き上げを受けて四国電力(9507)と東映(9605)が高く、四国電力が5.5%高となり、東映も3.7%高となっています。

一方で政府がロシアがウクライナに軍事侵攻した場合の経済制裁について米国が主導する半導体などの輸出規制に参加する方向で調整に入ったと伝わったことで半導体関連株が安くSUMCO(3436)が4.6%安となり昨年来安値を更新したほか、東京エレクトロン(8035)が4.0%安、レーザーテック(6920)が3.4%安、SCREENホールディングス(7735)が5.6%安、アドバンテスト(6857)も4.8%安となりました。さらにハイデイ日高(7611)が一時2.9%安となりました。新型コロナウイルス感染症の影響が継続しており先行き不透明な状況が続いていることから2022年2月期の期末配当予想を前期比6円減の12円にすると発表したことが嫌気されました。特種東海製紙(3708)も12.3%安となり昨年来安値を更新しました。株主の三菱商事(8058)や大王製紙(3880)、レンゴー(3941)などの5社が持ち合い解消を進めるため発行済み株式数の13%に当たる約170万株を売り出すと発表したことで需給悪化を懸念した売りが出ました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は461円安となりました。ロシアのプーチン大統領が親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の2地域を独立国家として承認すると宣言し、当該地域にロシア軍を派遣するよう国防省に指示するなどウクライナ情勢の一段の緊迫化を受けて大幅安となりました。昨日に節目の27,000円を割り込んだのに続いて本日は節目の26,500円も下回ったことで下値への警戒感が強まりますが、こうしたなかで先月の27日に付けた安値(26,170円)を割り込むことなく二番底を付けることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の23時45分に2月の米購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表されるほか、23日の午前零時には2月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表される予定です。また、22日の米国ではホーム・デポ(HD)の決算発表が予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)