米ドル/円 日足

週間予想レンジ:114.00~116.00

メインストラテジー:押し目買い

・ポジション調整の先行
・突っ込みの限界を確認
・保ち合いの先行も

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅反落し、一時113.48円をトライした。しかし、大引けは114円関門を回復したため、波乱があっても行き過ぎた値動きと言い切れず、調整波としての許容範囲内に留まったとみている。もっとも、米消費者物価指数(CPI)の高騰で米長期金利の上昇に繋がらなかったところでドルロングポジションの決済が促されたこともあり、米ドル全面安の一環と見なした場合、積み上げられた円売りポジションの整理が先行されても円のみの反応ではなく、あくまで米ドル全体の値動きと捉えている。

さらに、先々週年明け後の高値更新、またその後の反落をもって週足では「スパイクハイ」のサインを点灯したところ、本来2021年12月から連続5週間の上昇を一服させる可能性を示唆していたため、先週の反落自体、想定内でありサプライズではなかったと言える。円売りポジションの積み上げが継続されるなか、何らかの形のスピード調整が想定されやすかったため、先週の一旦114円関門割れがあっても許容範囲内の出来事と言える。

基本的な見方としては、先週安値をもって下落一服の公算が高い。1月4日~7日にかけて形成された「インサイド」のサインは、下放れを果たしてから先週安値の打診に繋がったわけだが、同サインの指示値(ターゲット)を超えたところで、1月14日の「スパイクロー」の罫線が確認され、下落一服を示唆していた。その上、年初来高値から3円超の下落幅は、2021年11月24日~30日の下落幅とほぼ同じであるため、前回の底打ち、またその後の上昇に鑑み、今回も切り返しの先行が想定される。

根本的な見方はこれまでと同じく、米ドルの調整があっても、しばらくテクニカル上の優位性は変わらない。というのは、2021年12月初頭の112円半ばの支持を証明したところが大きかった。年初来の高値更新は、結果として2021年11月26日の大陰線を否定することとなり、構造上の強さを一段と証拠付けた。理論上、2021年11月末安値の112.53円の割り込みなしで、米ドル高の構造は維持される。

その半面、大幅反落があっただけに、切り返しの先行があっても一直線な上値トライを果たせるとは限らない。115円半ば~116円関門前後の抵抗が鮮明になっており、早期上放れなしでは中段保ち合いの先行が想定されやすい。1月10日の下落は、先ほど述べた1月4日~7日で形成されたインサイドの下放れを果たしただけに、同日高値の115.86円以上の定着なしでは、基調の改善があってもたちまち高値を追える展開にはならないだろう。再度頭の重いことが確認されると、レンジ変動の先行が想定されやすい。

とはいえ、中長期スパンにおける見通しは全く変わらない。そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していたため、大局観としては、2021年年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの打破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地を拡大する流れにある。2011年~2015年のような強いラリーの再現があれば、2015年高値の125.86円のブレイクが規定路線になると見なしている。

豪ドル/円 日足  

週間予想レンジ:82.00~83.50

メインストラテジー:押し目買い

・調整波先行で一旦拡大へ
・基調悪化でも許容範囲
・優先されるサポート

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落し、調整波の拡大を示唆した。先々週84.32円をトライしてから反落し、2021年12月第2週からの切り返しを一服させたところ、先週の続落を同値動きの踏襲と見なしたため、位置付け自体は変わらないとみている。

豪ドル/円の構造上の強さをすでに証明しており、先週の続落があってもスピード調整と見なし、また調整波の拡大となったものの、支持ゾーンの再確認があれば、むしろこれからの地合いをより固める可能性が大きい。基調の改善がすでに確認された以上、安易な円高基調への逆戻りがないことは先週述べた通りである。

というのは、先週の続落は、あくまで調整の延長と見なし、根本的な構造が維持されている。そもそも2021年12月第2週の大陽線が重要な役割を果たしていた。2021年12月3日までの大幅続落が「売られ過ぎ」だったことから、翌週の急反発で底割れを回避し、週足では「ダブル・ボトム」に近い構造を示したため、その後の続伸をもたらしたわけであり、上昇波自体は確立されている。

その後の値動きも重要なサインを灯していた。2021年12月 16 日の「スパイクハイ」のサインは、本来抵抗ゾーンを示唆したものとして意識されるが、その後の続伸で同日の罫線を否定し、強気トレンドの継続を示唆していた。そのため、先々週の一旦84円台前半の打診はむしろ当然の成り行きで、地合いの堅調を一段と証拠付ける存在となった。

テクニカル上の視点は、やはり 82円 前半のブレイクが重要であったことも2021年年末に繰り返し指摘してきた通りであった。2021年11月 19 日 を「母線」とした「IOI」のサインがその後下放れを果たしたため、同日安値の82.14円  前後もメイン抵抗 と化し、当面豪ドルの頭を抑えることも想定していた。しかし、その後の続伸で同水準が再度突破され、さらに2021年11 月 26 日の大陰線を上回ったところで強気構造を一段と強化したため、理論上は2021年高値の再打診に繋がる。このような地合いが破壊されない限り、見方は変わらない。

先週の続落は、確かに再度82円関門を試したものの、早期下放れなしでは前回の構造を逆にもう1度証明することになるだろう。1月10日安値の一旦割り込みもあって、同日を「母線」とした「IOI」のサインの形成があっただけに、本来大幅続落をもたらしてもおかしくないが、82円関門前後の支持を再度確認できれば、調整波の限界が示唆される。

この意味合いにおいて、先週の波乱や続落がむしろ歓迎されるだろう。乗り遅れたロング筋にとって、安値を拾う好機とみている。何しろ、2021年12月16日の「スパイクハイ」のサインが上放れされた以上、目先としては再度支持ゾーンの役割を果たす公算が大きく、82円関門前後が繰り返し支持ゾーンとして確認できれば、今後の上昇の土台と化すはずだ。

このような値動きの確認があれば、調整波の延長があったからこそむしろ地合いを一段と強化し、84円後半の抵抗ゾーンにいずれ早晩トライするし、またブレイクをもって2021年高値に対する再打診をもたらすだろう。つまるところ、2020年コロナショック後の安値を起点とした大きなラリーは、なお継続される公算が大きく、2021年高値の更新があれば、一段と伸ばすことになる、というメインシナリオがなお維持されるのではないか。

そもそも米株の値動き次第では、調整波の延長も想定される。先週の続落はサプライズではなかった。これまで繰り返し述べてしてきたように、豪ドルの優位性が維持される公算が大きく、調整波の延長があっても中段保ち合いに留まるだろう。何らかの形で深押しの場合でも、理論上80円大台割れなしでは円高トレンドへの逆戻りはないと思われる。仮に仕掛け的な円買いがあっても、同大台を割り込むハードルはかなり高いとみている。そのため、引き続き押し目買いのスタンスをもって臨みたい。