フランス大統領選挙ではサルコジが敗戦し、欧州ソブリンリスクが再びクローズアップされてきています。その上、米国の4月の雇用統計が失望の結果となり欧米市場は調整しています。これに連動して香港株もモヤモヤした相場展開が続いているのですが、中国本土株は堅調で上海総合指数は2月末につけた高値を上抜ける手前まできています。
中国本土株は好材料がいくつか出ています。まず、4月30日に中国証券監督管理委員会(CSRC)はA株の取引手数料を25%引き下げると発表しました。これによって取引量の増大があるとの見方から証券株が強い勢いで上昇しています。また、4月28日には中国の本土市場における上場廃止基準が改訂されました。2年連続で債務超過、または営業収益が4年連続で1000万元を下回る企業が上場廃止の対象になるとのことです。当然この発表で、対象となりそうな企業は上場廃止懸念が高まり大幅安となっていますが、全体的には市場の透明性を上げる政策として好感されている様子です。
他方、HSBCが5月2日に発表した4月の中国製造業景況指数(PMI)の確定値が速報値の49.1から上方修正され49.3となり、3月の48.3から1ポイント改善となったこと、さらに中国物流購買連合会(CFLP)が5月1日に発表した4月の公式PMIも3月の53.1から小幅上昇の53.3となり、いずれも改善を示す数値であったことも好感されています。もちろん、改善と言っても強い数字ではありませんが、逆に預金準備率引き下げなどを誘発するとの期待感が強まり、相場上昇を支えました。
その他のニュースとしては上海証券報によると、中国上場企業の2012年第1四半期の決算について前年同期比0.4%減になったとのこと。また、中国証券報によると中国の4月の銀行融資が予想の9000億元を下回る7000億元となった見通しということが伝えられています。理由としては中国経済のスローダウンに伴う借入需要の減退があげられていますが、これらも金融緩和への期待感につながっています。ちなみに中国人民銀行は5月3日に公開市場操作を通じてインターバンク市場に650億元の資金を供給しており、預金準備率の引き下げなどは発表されておりませんが、金融緩和は確実に進んでいると考えられます。