【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 36,407.11  ▼392.54 (1/5)
NASDAQ: 15,100.17  ▼522.55 (1/5)

1.概況

米国市場はFOMC議事要旨を受けて米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化を前倒しで進めるとの見方が強まりハイテク株を中心に売りが出て大幅下落となりました。77ドル安でスタートしたダウ平均はしばらく前日終値を挟んで小幅に揉み合いましたが、まもなくして買いが優勢になると昼過ぎには153ドル高まで上昇しました。しかし、その後伸び悩むとFOMC議事要旨の発表を受けてマイナスに転じ下げ幅を大きく広げました。結局ダウ平均は392ドル安の36,407ドルと3日ぶりに反落となり安値圏で取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も522ポイント安の15,100ポイントと続落となり3%を超える下落となっています。

2.経済指標等

12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で参加者は総じて従来予想よりも早期もしくは速いペースでの利上げが正当化される可能性があるという認識を示し、さらに一部の参加者は利上げ開始後比較的早期にバランスシートの規模縮小の開始が適切となる可能性があるとみていることが分かりました。また、12月のADP全米雇用リポートで民間部門雇用者数は80万7000人増となり市場予想を大きく上回りました。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも不動産と情報技術が3%を超える下落となり、コミュニケーション・サービスも3%近く下げています。また、一般消費財・サービスも2%を超える下落となり、金融も1%以上下げています。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄ではハイテク株に売りが出るなか投資判断の引き下げもあってセールスフォース・ドットコム(CRM)が8%以上下げ下落率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)も4%近く下げています。アップル(AAPL)も2%を超える下落となり、長短金利差の縮小を受けてゴールドマン・サックス(GS)とJPモルガン・チェース(JPM)も2%前後の下落となりました。さらにナイキ(NKE)も2%以上下げています。一方でメルク(MRK)が2%以上上げ上昇率トップとなり、投資判断と目標株価の引き上げを受けてインテル(INTC)も1%を超える上昇となりました。ウォルマート(WMT)とベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)も1%以上上げています。

ダウ平均構成銘柄以外でも主力ハイテク株が安く、電気自動車のテスラ(TSLA)が5%以上下げ、グーグルの持ち株会社であるアルファベット(GOOGL)も4%を超える下落となりました。動画配信のネットフリックス(NFLX)も4%近く下げ、フェイスブックを運営するメタプラットフォームズ(FB)とツイッター(TWTR)も3%以上下落しています。また、半導体株も安くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)とエヌビディア(NVDA)が5%以上下げ、ブロードコム(AVGO)も4%余り下落しています。

5.為替・金利等

長期金利は金融政策の正常化が予想以上に早く進むとの見方が強まり0.05%高い1.70%となりました。ドル円は116円近辺で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が節目の29,000円を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)