東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて3日ぶりに大幅反発となりました。276円高の28,953円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分後に203円高の28,879円まで弱含んだ後上げ幅を広げると9時50分前に444円高の29,121円まで上昇しましたが、節目の29,000円を上回ってきたことで戻り待ちや利益確定の売りが出て上げ幅を縮めると276円高の28,952円で前場を終えました。273円高の28,949円でスタートした後場の日経平均は大きく押すことなく堅調に推移すると引けにかけて上げ幅を広げ結局392円高の29,069円となり後場の高値で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

しまむら(8227)が4.1%高となりました。外出の機会が増えて衣料の販売が堅調だったうえ、店舗業務のデジタル化を進めたことで販管費も抑制されたことなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で24.5%増となったことが好感されました。三陽商会(8011)も一時2.8%高となりました。第3四半期9カ月間の営業損益は12億円近い赤字となりましたが、不採算店舗からの撤退や人員削減などの構造改革により販管費を削減したことに加え、値引き販売を減らした効果もあり第3四半期3カ月間の営業損益が8億円を超す黒字に転換したことが評価されました。キユーピー(2809)も一時4.0%高となりました。マヨネーズや卵加工品の原料となる鶏卵価格が当初の想定を下回ったことなどから2021年11月期の純利益の見通しを154億円から180億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。

愛知銀行(8527)も16.2%高となり年初来高値を更新しました。貸出金の利息や配当金など資金利益が想定以上に増えることや、預かり資産関連の手数料も予想を上回る見込みとなったことなどで通期の経常利益の見通しを94億円から135億円に上方修正すると13時30分に発表したことから発表直後に急速に上げ幅を広げました。

また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅高となり最高値を更新したことから東京エレクトロン(8035)やレーザーテック(6920)などが高く、東京エレクトロンが一時2.1%高、レーザーテックも一時4.0%高となり揃って上場来高値を更新しています。

一方で漬物製造大手のピックルスコーポレーション(2925)が一時6.3%安となりました。第3四半期9カ月間の営業利益は前年同期比17.1%増となりましたが、新型コロナウイルスの感染状況の改善を受けて外出の機会が増えたことから家で食事する機会が減って総菜需要が伸び悩んだことなどで第3四半期3カ月間の営業利益が前年同期比9.9%減と減益に転じたことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は392円高となりました。年末商戦の状況から米経済の先行きに対する楽観的な見方が強まり昨日の米国市場が4日続伸となり、S&P500株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。大幅高となり上値抵抗線として意識されやすい100日移動平均線(28,813円)や200日移動平均線(28,831円)、さらに節目の29,000円を上回ってきたことから掉尾の一振への期待も一段と高まりそうで、こうしたなかで年内残り2営業日でどこまで水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、小売り企業を中心とした2月決算銘柄の第3四半期決算がスタートしていますが、本日も引け後にJ.フロント リテイリング(3086)やスギホールディングス(7649)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)