【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 35,897.64  ▼29.79 (12/16)
NASDAQ: 15,180.44  ▼385.15 (12/16)

1.概況

米国市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)がタカ派姿勢を示したことが改めて警戒され主力ハイテク株に売りが出て反落となりました。108ドル高でスタートしたダウ平均はまもなくして262ドル高まで上昇しましたが、徐々に上げ幅を縮めると取引終盤にマイナスに転じ一時は149ドル安まで下落しました。その後一旦プラスに転じたダウ平均ですが伸び悩むと引けにかけて再びマイナスとなり結局29ドル安の35,897ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も385ポイント安の15,180ポイントとなり2%を超える下落となっています。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比1万8000件増の20万6000件となり市場予想を上回る悪化となりました。12月の米フィラデルフィア連銀製造業景況指数も15.4と前月から低下し市場予想を下回りました。11月の米鉱工業生産指数も前月比0.5%上昇に止まり市場予想を下回っています。設備稼働率は76.8%となり市場予想と一致しています。一方で11月の米住宅着工件数は年率換算で前月比11.8%増の167万9000件となり市場予想を上回っています。また、欧州中央銀行(ECB)が理事会でコロナ危機で導入した緊急買い取り制度による新規資産購入を2022年3月末で打ち切ると決めたほか、英イングランド銀行は政策金利を0.15%引き上げて年0.25%にするとし、新型コロナウイルスの感染拡大後としては日米欧の主要4中銀で初めての利上げに踏み切っています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が上げ、金融と素材が1%を超える上昇となりました。一方で3業種が下げ、情報技術が3%近く下落し、一般消費財・サービスも2%以上下げています。

4.個別銘柄動向

主力ハイテク株に売りが出るなかダウ平均構成銘柄ではアップル(AAPL)が4%近く下げ下落率トップとなったほか、マイクロソフト(MSFT)も3%近く下げ、セールスフォース・ドットコム(CRM)も2%を超える下落となりました。ダウ平均構成銘柄以外でも電気自動車のテスラ(TSLA)が5%安となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)と動画配信のネットフリックス(NFLX)も2%以上下げています。フェイスブックを運営するメタプラットフォームズ(FB)も2%近く下げました。また、半導体株も安くエヌビディア(NVDA)が7%近く下げ、クアルコム(QCOM)も6%近く下落しました。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も5%以上下げ、マイクロン・テクノロジー(MU)も3%を超える下落となっています。さらにソフトウエア大手のアドビ(ADBE)が通期の業績見通しが市場予想を下回ったことで10%余り下げています。

一方で決算が市場予想を上回る増収増益となったことでコンサルティング大手のアクセンチュア(ACN)が6%を超える上昇となりました。通信大手のAT&T(T)も投資判断の引き上げを受けて7%近く上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.05%低い1.41%となりました。ドル円は113円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は昨日に回復した節目の29,000円を割り込みそうで、200日移動平均線(昨日時点で28,858円)を引けで維持できるかがポイントとなりそうです。また、金融政策に変更はないとみられますが昼頃に日銀の金融政策決定会合の結果が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)