【米国株式市場】ニューヨーク市場
NYダウ: 35,927.43 △383.25 (12/15)
NASDAQ: 15,565.58 △327.94 (12/15)
1.概況
米国市場はFOMCの結果がほぼ想定の範囲の内容となったことで3日ぶりに大幅反発となりました。5ドル高でスタートしたダウ平均は直ぐにマイナスに転じると朝方に154ドル安まで下落するなどFOMCの結果発表を控え様子見となるなか軟調に推移しましたが、FOMCの結果発表を受けてプラスに転じ大引け間際に399ドル高まで上げ幅を広げると結局383ドル高の35,927ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も327ポイント高の15,565ポイントとなり2%を超える上昇となっています。
2.経済指標等
米連邦公開市場委員会(FOMC)では資産購入の減額ペースを月150億ドルから300億ドルとするテーパリング(量的金融緩和の縮小)の加速を決定しました。また、声明文から前回まであった物価押し上げ要因は「一時的」との文言が削除され、参加者の政策金利見通しでは2022年に3回の利上げを見込んでいることが明らかとなり、前回9月時点での1回から利上げペースが加速する見通しとなりました。
さらに12月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数は31.9と前月から上昇し市場予想を上回りました。12月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数も84となり市場予想を上回り、10月の米企業在庫も前月比1.2%増となり市場予想を上回りました。11月の米輸出物価指数も前月比1.0%上昇し市場予想を上回りましたが、米輸入物価指数は前月比0.7%上昇し市場予想と一致しています。一方で11月の米小売売上高は前月比0.3%増に止まり市場予想を下回っています。
3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうちエネルギーを除く10業種が上げました。そのなかでも情報技術とヘルスケアが2%を超える上昇となったほか、公益事業と不動産、一般消費財・サービス、コミュニケーション・サービス、生活必需品も1%以上上げています。
4.個別銘柄動向
ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が上げました。そのなかでもシスコシステムズ(CSCO)が4%近く上昇したほか、ユナイテッドヘルス・グループ(UNH)も3%以上上げました。また、アップル(AAPL)も3%近く上昇し、アムジェン(AMGN)とメルク(MRK)も2%以上上げ、インテル(INTC)とマイクロソフト(MSFT)も2%近く上昇しています。
ダウ平均構成銘柄以外では、半導体株が高くアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が8%高となり、エヌビディア(NVDA)も7%を超える上昇となりました。クアルコム(QCOM)も4%高となっています。さらに製薬のイーライ・リリー(LLY)が通期の業績見通しを上方修正したことで10%余り上げています。一方で動画配信機器のロク(ROKU)が8%近く下げました。ロクの製品がリモコン製造のユニバーサル・エレクトロニクス(UEIC)の特許を侵害していると米国際貿易委員会が認定したことが嫌気されました。
5.為替・金利等
長期金利は0.02%高い1.46%となりました。ドル円は114円近辺で推移しています。
VIEW POINT: 今日の視点
本日の日本市場は米国株高を受けて大きく上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均が200日移動平均線(昨日時点で28,861円)を上回ることができるかがポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)