東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に反発となりました。74円安の28,358円でスタートした日経平均は寄り付きを安値に下げ渋ると取引開始から5分程度でプラスに転じ9時30分過ぎに93円高の28,525円まで上昇しましたが、節目の28,500円を小幅に上回ったところで伸び悩むと再びマイナスとなり23円安の28,409円で前場を終えました。4円安の28,428円でスタートした後場の日経平均はしばらく昨日の終値を挟んで小幅に揉み合いましたが、取引終盤に買いがやや優勢になると結局27円高の28,459円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

トヨタ(7203)が3.6%高となりました。2030年までにバッテリーを含めた電気自動車(EV)に4兆円規模の投資を行い、EVの世界販売台数を大幅に引き上げ2030年に350万台とする目標を発表し、EVに対する積極的な姿勢を示したことが評価されました。また、トヨタのEVへの積極姿勢を受けてデンソー(6902)が一時4.9%高となり上場来高値を更新したほか、電池や充電器関連銘柄にも買いが広がり田中化学研究所(4080)が13.1%高、戸田工業(4100)が8.8%高、新電元工業(6844)も6.1%高となりました。

さらにリクルートホールディングス(6098)も4.2%高となりました。傘下の米求人検索サイト「インディード」の10月の日本国内のサイト訪問者数が月間で延べ3850万人にのぼったと伝わったことで買いが優勢となりました。エーザイ(4523)も一時4.3%高となりました。厚生労働省がエーザイと米バイオジェン(BIIB)が共同開発した認知症の新薬「アデュヘルム」について22日に承認の可否を審議する医薬品第一部会を開催すると公表したことで期待が高まりました。

一方でばら積み船市況の総合的な値動きを表すバルチック海運指数が大幅安となったことで大手海運株が安く、日本郵船(9101)が2.0%安、商船三井(9104)が2.8%安、川崎汽船(9107)も7.1%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は27円高となりました。11月の米卸売物価指数が高い伸びとなったことで利上げ前倒しへの警戒感が強まり昨日の米国市場が続落となったことから売りが先行しましたが、その後一進一退の展開になると小幅に上げて取引を終えました。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を日本時間の16日午前4時に控えていることから様子見ムードが強く一日を通して方向感に欠ける展開でした。そのFOMCでは資産購入の減額ペースを月150億ドルから300億ドルとするテーパリング(量的金融緩和の縮小)の加速が決定されるとみられていますが、すでに織り込み済みであることから前回9月時点で1回だった2022年中の利上げ回数が参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)を受けてどのように変化するかなどに注目が集まりそうです。また、日本時間の22時30分には12月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数や11月の米小売売上高などの発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)