東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反落となりました。174円安の29,324円でスタートした日経平均は寄り付をほぼ高値に下げ幅を大きく広げ10時10分過ぎに668円安の28,831円まで下落した後一旦下げ渋りやや持ち直しましたが、節目の29,000円を前に上値が押さえられると再び下げ幅を広げ11時20分過ぎに743円安の28,756円まで下落し719円安の28,779円で前場を終えました。

さらに下げ幅を広げ799円安の28,699円でスタートした後場の日経平均は13時前に893円安の28,605円まで下落し安値を付けた後引けにかけてやや戻すと結局747円安の28,751円で取引を終えています。また、TOPIXも40ポイント安の1,984ポイントとなり節目の2,000ポイントを割り込んだほか、新興市場も安く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたと伝わったことで空運株が安く、日本航空(9201)が6.5%安、ANAホールディングス(9202)も4.5%安となっています。エイチ・アイ・エス(9603)やオープンドア(3926)、エアトリ(6191)、KNT-CTホールディングス(9726)といった旅行会社株も安く、エイチ・アイ・エスが7.3%安、オープンドアが7.3%安、エアトリが5.2%安、KNT-CTホールディングスも4.7%安となりました。

また、ソフトバンクグループ(9984)も5.2%安となりました。傘下のビジョン・ファンドを通じて出資する中国配車アプリ大手のディディ(DIDI)に中国当局が上場している米国株式市場から撤退する計画をまとめるよう求めていると伝わったことが嫌気されました。日経平均が大幅安となるなかソフトバンクグループに加えて指数寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)なども安く、ファーストリテイリングが3.3%安、東京エレクトロンも2.3%安となり、この3銘柄で日経平均を210円押し下げています。

一方で自社株買いを発表したシチズン時計(7762)や大阪住友セメント(5232)が大幅高となりました。自己株式を除く発行済株式総数の7.99%に当たる2500万株と100億円を上限とする自社株買いを発表したシチズン時計が一時6.3%高となり年初来高値を更新したほか、自己株式を除く発行済株式総数の9.41%に当たる350万株と100億円を上限とする自社株買いを発表した大阪住友セメントも国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたこともあって8.9%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は747円安となりました。昨日の米国市場が感謝祭の祝日で休場となり新たな材料に乏しいなかで下落して始まると南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認され感染が急増していると伝わったことで下げ幅を大きく広げました。

昨日に節目の29,500円の回復に失敗し上値の重さが意識されるなかで25日移動平均線(29,333円)や節目の29,000円だけでなく、200日移動平均線(28,947円)や一目均衡表の雲の下限(28,867円)まで割り込んだことから下値への警戒感が一気に強まりそうです。

なお、26日は米国で年末商戦が本格スタートするブラックフライデーを迎えます。全米小売業協会(NRF)では今年の年末商戦の売上高が前年比で1割前後伸びると見込んでいますが、供給制約で品不足も懸念されるなかで年末商戦が順調な滑り出しをみせるかが注目されます。また、今晩の米国市場は感謝祭の翌日で短縮取引となります。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)