東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日続落となりました。日経平均は50円高の29,557円で寄り付くと取引開始から10分弱で243円高の29,750円まで上昇しましたが、上げ幅を縮めると11時過ぎにマイナスに転じ18円安の29,488円まで下落しました。しかし、下げ渋ると持ち直し29円高の29,536円で前場を終えました。
12円安の29,494円と再びマイナスに転じて後場の取引をスタートさせた日経平均は大きく下げ幅を広げ13時前に266円安の29,240円まで下落すると結局221円安の29,285円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。
2.個別銘柄等
ソフトバンクグループ(9984)が10.5%高となりました。傘下ファンドが投資した中国企業などの株価下落が響き第2四半期3ヶ月間の純損益が赤字となったことで上期6カ月間の純利益が前年同期比で80.7%減と大幅な減益となりましたが、自己株式を除く発行済み株式の14.6%にあたる2億5000万株と1兆円を上限とする大規模な自社株買いを発表したことで買いを集めました。ソフトバンクグループは一銘柄で日経平均を136円押上げています。
同じく上期決算を発表した住友金属鉱山(5713)も一時4.2%高となりました。権益を持つ銅などの金属価格が高騰したほか、保有するチリ銅鉱山の権益売却が押し上げることなどから通期の純利益の見通しを1040億円から2140億円に引き上げ14年ぶりに最高益を更新する見込みとなったことで買いが優勢となりました。第3四半期の決算を発表したヤマハ発動機(7272)も一時5.6%高となりました。新型コロナウイルス禍で密を避けられるレジャーや移動の手段として二輪車販売が好調だったことなどから通期の営業利益の見通しを1600億円から市場予想を上回る1720億円に上方修正したことで上げ幅を広げる場面がありました。
一方で11時30分に上期決算を発表した川崎重工業(7012)が9.2%安となり年初来安値を更新しました。鋼材価格の上昇による中国の船舶海洋事業の持ち分法適用会社の業績悪化などを織り込んだことで通期の経常利益の見通しを280億円から220億円に下方修正したことで後場に入って下げ幅を広げました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は221円安となりました。米議会下院が1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決したことを受けて昨日の米国市場が続伸となり主要3指数が揃って史上最高値を更新したことから上昇して始まりましたが、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮めると売りが優勢となり後場に入って下げ幅を三桁に広げました。一目均衡表の雲の上限(29,258円)を小幅に下回ったところではさすがに下げ渋りましたが、昨日に続いて買いが先行しながら伸び悩み下落となったことで上値の重さが強く意識されそうです。
なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にディー・エヌ・エー(2432)やIHI(7013)、日産(7201)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には10月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)