米ドル/円 日足
週間予想レンジ:113.50~115.50
メインストラテジー:押し目買い
・保ち合いの位置付け
・円売りポジションの整理
・底堅いなら強気構造を継続
アナリシス:
米ドル/円相場は先週114.46円を再度トライした後反落、高値圏での保ち合いが続いた。米連邦公開市場委員会(FOMC)は想定通りの内容となったが、米雇用統計後米金利の反落につられた形で下落が先行したため、保ち合いの一環と位置付ける。本質的には、115円関門を突破する前における円売りポジションの整理であり、一巡すればまた上値トライしやすく、強気構造自体は維持される。
もっとも、先々週の113.25円を下回らないうちは、先週の反落を大袈裟に解釈すべきではない。先々週の113.25円をトライしてから切り返し、調整の早期終焉を示唆していたため、先週の反落があっても、レンジ変動の一環として位置付ける。10月20日に114.71円をトライしてから反落し、上昇一服を果たしたものの、114円円台後半のトライ自体は上値志向の強さを示していた。また保ち合いの継続や拡大があったからこそ、これからの強気変動をより健全化させる公算が大きい。
そもそも2017年以来の高値更新を果たし、また2018年高値へ接近したこと自体、上昇波の加速を示唆していた。大局として観ると、これまで繰り返し述べてきたように、年初来安値を起点とした上昇波は推進波であり、2015年から形成されてきた大型保ち合いの突破を確認した後、円安の本流を牽引する形で米ドル/円の大幅上昇が続き、これから一段と上値余地が拡大するだろう。
2011~2015年のような強いラリーの再現があれば、今後2、3年の米ドル高/円安の流れが一段と強化される可能性も大きく、2015年高値の125.86円のブレイクが視野に入る。
10月20日からの反落で一旦スピード調整を示しているが、高値圏での保ち合い自体がスピード調整であることを証拠付けており、この意味合いにおいては、先週の反落があっても「コップの中の嵐」、つまり115円心理関門のブレイクは既定路線であり、またブレイクがあってももはやそれは通過点に過ぎないと思われる。
9月後半から10月後半まで連日の上昇で、大台打診前のロング筋の利益確定は行われやすい地合いだった。先週の反落は、これからの上昇波を健全化させる側面が大きいため、あくまでスピード調整の一環と位置付けている。この意味では、「壁」となる115円関門の突破があれば、一段と円安の新天地を拡大し、先週の切り返しで早期突破の可能性が示唆されたとみている。
直近の足型では、先週強調したように、10月20日の上値トライや、陰線引け自体が「スパイクハイ」のサインを点灯し、10月28日安値の113.25円への反落をもたらしたが、同サインの効き目を過大評価すべきではない。その証拠として、先週の反落があっても、目先の113円関門を下回らず、保ち合いにおける底固さが逆に確認されている。これから仮に一旦下放れがあっても、112円台半ばの支持ゾーンを鑑み、効き目の限界が証明されやすいため、いわゆる深押しを回避できる公算が大きい。
115円関門の打診があれば、115円半ばのトライに繋がり、また一気した上放れがなくても117~118円といった上値余地の拡大につながる。先週の反落があったからこそ、米ドル/円はもはや「買われ過ぎ」の状況を解消しており、これから身軽に上値を追いやすいのではないかと推測できる。11月4日高値の114.29円のブレイクがあれば、強気変動へ復帰するサインと見なせる。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:84.00~86.00
メインストラテジー:押し目買い
・円高より豪ドル安
・豪ドルの優位性は不変
・巻き戻しは限定される
アナリシス:
豪ドル/円相場は先週大きく反落し、一旦84円関門割れをもってスピード調整の値幅拡大を示した。ただし、円高より豪ドル安というポイントは見逃せない上、商品通貨対円の優位性自体が維持される公算が大きい。またスピード調整の値幅拡大があったからこそ、再度押し目買いの好機に恵まれると思う。
豪ドルの軟調は、オーストラリア準備銀行の政策金利据え置き、また早期利上げ観測の一旦低下がもっとも大きな背景であった。円売りポジションの整理が先行し、先週の大陰線をもたらしたが、9月後半からの上昇幅に鑑みて、なお許容範囲に留まっており、また巻き戻しの限界がすでに近づいている可能性が大きいとみている。
そもそも、10月第3週の「弱気サイン」を否定できなかったところも大きかった。先週の切り返しや、先々週の反落をもって上昇幅が削られ、10月高値の86.27円からの反落が延長されたと見なせる。日足では、11月2日の反落、またその前の「IOI」のサインが下放れを果たし、11月4日の「弱気リバーサル」というサインの継続もあって、一旦84円関門の割り込みをもたらしたわけである。
ただし、スピード調整の値幅拡大があってもあくまで調整波として位置付け、過大評価すべきではない。そもそも9月22日の上昇から、10月21日の高値までほぼ一本調子であったため、10月21日高値をトライしてからの反落は、むしろ大分遅れてきた調整だと思う。
さらに、我々の見通しの通り、年初来高値の再更新はむしろ既定路線だったからこそ、高値更新を果たした後のロング筋の利益確定も容易に推測できた。そのため、調整波の先行があっても自然な成り行きであり、先週の大陰線をもってすでに果たしたため、それから継続されても下値余地が限定されるだろう。
繰り返し述べてきたように、商品通貨として先行したカナダドル、NZドルに続き、豪ドル対円の高値更新がむしろ出遅れており、多少「買われ過ぎ」のサインがあってもオーバーしたとは言えない。商品通貨としての優位性がしばらく維持され、円の最弱通貨という位置付けが変わらない以上、年初来の高値更新を果たした後でも高値圏での保ち合いを維持し、これからさらなる上値余地を拓く公算が大きい。
先週の反落は、値幅こそ想定よりやや拡大されたものの、その位置付けは不変であり、また想定よりやや深押しの様子を示したからこそ「買われ過ぎ」が解消され、今後身軽になり、強気変動へ復帰しやすいのではないかと推測される。
7月6日の陰線は、「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯したため反落、事実上「ダマシ」のサインと化したからこそ、その後の大幅下落や8月20日安値の77.89円の打診に繋がった。そして上昇波への復帰は、7月6日高値の84.22円のブレイクをもって確立され、年初来高値の更新が自然な成り行きとみなされただけに、84.22円前後は一転して重要な支持ゾーンとなり、10月21日の陰線がもたらした弱気サインの効き目は、同支持ゾーンを深押しできない限り、強いブル構造に変化なしと判断できる。先週一旦84円関門割れがあっても、同支持ゾーンを完全無効させたとは言えず、今週の値動きが焦点となってくるだろう。
ただし、強気変動へ復帰するハードルも低くはない。まず11月4日高値の85.22円の回復が先月からの条件であり、その後11月2日高値の85.93円のブレイクがサインとなってくるだろう。完全に強気変動への復帰を果たす前に、なお保ち合いは継続し、また一時下放れがあることを覚悟しておきたい。ただし、84円関門以下を継続的に下回ることや、ベアトレンドへの復帰は想定しにくいため、あくまで押し目買いのスタンスで臨みたい。