東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米FOMCを無事通過したことで反発しました。338円高の29,859円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分で359円高の29,880円まで上昇した後11時過ぎに217円高の29,738円まで上げ幅を縮めましたが、前引けにかけてやや戻すと271円高の29,792円で前場を終えました。

229円高の29,750円でスタートした後場の日経平均は13時過ぎに265円高の29,786円まで上昇した後13時50分過ぎに197円高の29,718円まで上げ幅を縮めましたが、その後引けにかけて戻すと結局273円高の29,794円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

取引時間中の13時25分に上期決算を発表したトヨタ(7203)が一時2.5%高となり上場来高値を更新しました。通期の営業利益の見通しを2兆5000億円から2兆8000億円まで上方修正したことで決算発表直後に上げ幅を広げる場面もありましたが、円安を除けば資材高騰などで実質下方修正と伝わったことなどもあって小幅にマイナスとなる場面もあり結局0.7%高で引けています。

寄り付き直後に上期決算を発表した富士フイルムホールディングス(4901)もバイオ医薬品の開発製造受託や半導体向け材料などが好調で通期の営業利益の見通しを2000億円から市場予想を上回る2200億円に上方修正したことで4.8%高となっています。また、2日の引け後に上期決算を発表した日本製鉄(5401)も一時5.2%高となりました。製造業や建設業で需要が堅調に推移していることから鋼材の値上げが進んで採算が改善することなどから通期の純利益の見通しを3700億円から市場予想を上回る5200億円に引き上げたことで買いが優勢となりました。

ヤフーやLINEを傘下にもつZホールディングス(4689)も7.2%高となり年初来高値を更新しました。広告事業の拡大でLINE単体の営業利益が4四半期連続で黒字化したことなどから上期の営業利益が前年同期比で17.5%増となり市場予想を上回ったことで大幅高となりました。タカラバイオ(4974)も3.4%高となりました。2022年1月にもメッセンジャーRNAワクチンの受託製造に参入すると伝わったことが材料視されました。

一方で上期決算を発表したコニカミノルタ(4902)が8.6%安となりました。主力の事務機が半導体不足で需要に見合う台数を生産できないことなどから通期の営業利益の見通しを360億円から120億円に下方修正したことで売りがかさみました。花王(4452)も原材料価格の上昇で掃除用品や洗剤の利益率が悪化したことなどから第3四半期の営業利益が前年同期比で9.2%減となったことから4.7%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は273円高となりました。米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の縮小)開始が決まったものの利上げに慎重な姿勢が示されたことで昨日の米国市場が続伸となり、主要3指数が連日で史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。FOMCを無事に通過したことで30,000円の大台回復への期待も高まりそうですが、明日は米雇用統計の発表を控え一旦様子見となる可能性もありそうです。

なお、決算発表が続いていますが本日も引け後にはダイキン工業(6367)やニコン(7731)、リコー(7752)、任天堂(7974)、ソフトバンク(9434)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や9月の米貿易収支などが発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)