東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反発しました。130円安の28,578円で寄り付いた日経平均は取引開始から15分で162円安の28,546円まで下落した後切り返すと9時30分ごろにプラスに転じ10時30分過ぎに280円高の28,989円まで上昇しました。しかし、節目の29,000円を前に上値が押さえられると上げ幅を縮め183円高の28,892円で前場を終えました。

245円高の28,954円でスタートした後場の日経平均は直後に268円高の28,976円まで上昇した後14時50分に40円高の28,749円まで上げ幅を縮めましたが、引けにかけてやや持ち直すと結局96円高の28,804円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したディスコ(6146)が3.0%高となりました。世界的な半導体不足を背景に幅広い種類の半導体向けに加工装置が伸びることなどから第3四半期の純利益が前年同期比で66.2%増の426億円となり過去最高益を更新する見通しを発表したことが好感されました。他の半導体製造装置株にも買いが波及し、東京エレクトロン(8035)が4.4%高、SCREENホールディングス(7735)が5.0%高、レーザーテック(6920)も3.7%高となっています。

本日の昼休み時間中に上期決算を発表したベンチャーキャピタル大手のジャフコ グループ(8595)も6.6%高となりました。IPO(新規株式公開)による株式売却などでキャピタルゲインと成功報酬が大幅に増加したことなどで上期の営業利益が前年同期比で4.5倍となったことや、自己株式を除く発行済み株式総数の9.6%に当たる250万株を上限とした自社株買いを発表したことで後場に上昇に転じ上げ幅を広げました。

また、投資判断と目標株価の引き上げに反応したのがコマツ(6301)とスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)で、コマツが一時4.4%高となり、スクウェア・エニックス・ホールディングスも3.7%高となっています。一方でZホールディングス(4689)が投資判断の引き下げを嫌気して4.4%安となったほか、暗号資産の交換業者に出資しているセレス(3696)もビットコイン価格の大幅下落を受けて3.2%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は96円高となりました。米国市場が高安まちまちとなり新たな買い材料に乏しいなかで大幅安となった昨日の地合いを引き継ぎ売りが先行しましたが、節目の28,500円を前に下げ渋り上昇に転じると、中国恒大集団が23日に利払いの猶予期限が迫っていた米ドル債の利息を送金したと伝わったことで一時は29,000円に迫る場面もありました。しかし、後場に入ると200日移動平均線(28,803円)を意識した展開となり伸び悩みました。

来週は企業決算が本格化しますが、こうしなかで決算発表を追い風に水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の22時45分には10月の米製造業PMI速報値が発表されるほか、22日の米国ではアメリカン・エキスプレス(AXP)やハネウェル・インターナショナル(HON)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)