東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて大幅続伸となり節目の29,000円を回復しました。日経平均は236円高の28,787円で寄り付くとしばらく28,800円を挟んで揉み合いましたが、10時50分ごろから上げ幅を広げると11時20分過ぎに402円高の28,953円まで上昇し369円高の28,920円で前場を終えました。

397円高の28,948円でスタートした後場の日経平均はしばらく28,900円台で推移しましたが14時10分頃から上げ幅を広げると大引け間際に531円高の29,082円まで上昇し結局517円高の29,068円で取引を終えました。こうしたなか新興市場も高く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3%余り上昇したことから日本市場でも半導体関連銘柄が高く、半導体製造装置のレーザーテック(6920)が9.5%高、ディスコ(6146)が3.2%高、シリコンウエハー大手のSUMCO(3436)も4.5%高となりました。100円ショップのキャンドゥ(2698)も21.5%上昇しストップ高となりました。イオン(8267)がTOB(株式公開買い付け)などによってキャンドゥを買収すると発表したことで買いを集めました。

上期決算を発表した和食レストランなどを展開するクリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)も8.0%高となりました。コスト削減や自治体からの協力金の計上などが寄与することなどから通期の営業利益の見通しを55億円から108億円に上方修正したことが好感されました。また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのが東宝(9602)やファナック(6954)で、東宝が目標株価の引き上げを受けて3.0%高となり上場来高値を更新したほか、ファナックも投資判断と目標株価の引き上げを受けて5.6%高となっています。

一方で本決算を発表したファーストリテイリング(9983)が一時3.2%安となりました。2022年8月の営業利益が前期比8.4%増の2700億円になる見通しを発表しましたが市場予想に届かなかったことで売りが優勢となりました。高島屋(8233)も新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で3-8月期の来店客数が想定を大きく下回ったことなどから通期の営業利益の見通しを130億円から60億円に下方修正したことで4.1%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は517円高となりました。昨日の米国市場が市場予想を上回る米国企業の決算発表が相次いだことを受けて大幅高となったことから買いが優勢となりました。大きく上げ幅を広げたことで節目の28,500円や75日移動平均線を回復した昨日に続いて本日は200日移動平均線(28,744円)に加えて節目の29,000円も回復しました。節目を次々と超えてきたことで地合いの好転が強く意識されそうですが、こうしたなかで来週は29,000円で下値を固めてさらに戻りを試すような展開がみられるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の21時30分には9月の米小売売上高や10月の米ニューヨーク連銀製造業景況指数などが、そして23時には10月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。また、15日の米国ではゴールドマン・サックス(GS)などが決算発表を予定しています。さらに週明けは中国で7-9月期のGDPや9月の鉱工業生産など数多くの経済指標が発表される予定で注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)