東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに反発しました。124円高の28,264円で寄り付いた日経平均は9時10分前に93円高の28,234円までやや上げ幅を縮めた後切り返すと9時30分に362円高の28,502円まで上昇しましたが、節目の28,500円をわずかに上回ったところで上値が押さえられると上げ幅を縮め285円高の28,425円で前場を終えました。
308円高の28,448円でスタートした後場の日経平均は再び上げ幅を広げ12時40分過ぎに436円高の28,576円まで上昇した後13時40分過ぎに330円高の28,471円まで上げ幅を縮めましたが、その後持ち直すと結局410円高の28,550円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も高く東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
本決算を発表したサイゼリヤ(7581)が13.0%高となり年初来高値を更新しました。中国をはじめとするアジア事業が伸びるうえ、国内事業も部門黒字へ浮上することなどから2022年8月期の営業損益が70億円の黒字に転換する見通しを発表したことで急伸となりました。上期決算を発表した吉野家ホールディングス(9861)も9.4%高となりました。不採算店舗の閉鎖や本社の縮小などのコスト削減の効果が出るうえ、時短協力金などの営業外収益が利益を押し上げることなどから通期の純利益の見通しを20億円から47億円に上方修正したことで買いを集めました。
また、昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4日ぶりに反発したことから日本市場でも半導体製造装置銘柄が高く、東京エレクトロン(8035)が5.2%高、SCREENホールディングス(7735)が4.3%高、アドバンテスト(6857)が3.8%高となりました。さらに目標株価の引き上げに大きく反応したのがアシックス(7936)で7.2%高となっています。
一方で米デルタ航空(DAL)が燃料価格の急騰を受け第4四半期に税引き前ベースで赤字を計上する恐れがあるとの見方を示したことで日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が安く、日本航空が一時3.9%安となり、ANAホールディングスも一時3.2%安となりました。リサイクル店を運営するトレジャー・ファクトリー(3093)も4.4%安となりました。生活雑貨などの売れ行きが好調で上期の営業損益は黒字転換しましたが、通期予想に対する進捗率が19.3%に止まったことから業績の下振れを懸念した売りが出ました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は410円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均がわずかな下落に止まり、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数が反発したことから買いが優勢となりました。前場は節目の28,500円をわずかに上回ったところで上値が押さえられましたが、後場に入って再び上げ幅を広げると28,500円を上回って取引を終えました。節目の28,000円近辺での底堅さを確認した翌日に大幅高となり28,500円を回復したことから下値への警戒感が一段と後退しそうで、75日移動平均(28,523円)も超えてきたことから次は200日移動平均線(28,732円)を回復できるかがポイントとなりそうです。
なお、小売り企業の決算発表が本格化していますが本日も引け後にはファーストリテイリング(9983)や良品計画(7453)、高島屋(8233)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には米新規失業保険申請件数や9月の米卸売物価指数(PPI)が発表されるほか、14日の米国ではバンク・オブ・アメリカ(BAC)やモルガン・スタンレー(MS)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、シティーグループ(C)などの金融大手が決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)