米ドル/円 日足

週間予想レンジ:111.50~114.00 

メインストラテジー:押し目買い&高値追い

・2020年高値更新で新段階へ
・114円前半まで抵抗なしか
・米ドル/円のリードは鮮明

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅続伸、大引け値の112.22円はちょうど2020年高値に相当し、新たな上昇段階入りを示唆した。このコラムの視点では、先々週高値以上の大引けを実現したところも大きい。何しろ、先々週の足型は典型的な「スパイクハイ」だったため、その高値以上の大引けはブルトレンドを証拠付けるものとなり、モメンタムの一段加速を示している。

直近のブルトレンドの起点は、9月20日から数えられ、同週一旦109.13円まで安値打診したものの、一転して大きく上昇し、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の通過もあって、やっと中段保ち合いを離脱したところが大きかった。その意味合いでは、先々週の続伸や先週の高値再更新はその結果であり、また延長戦にあるため、当然の成り行きだと言える。

繰り返し指摘してきたように、7月高値111.67円からの反落は、8月4日に一旦108.72円をトライし、調整波の先行でさらなる下値トライがあってもおかしくなかった。しかし、その後保ち合いを継続し、また1円ほどのレンジを形成してきたので、次のブレイクをもって調整波拡大の有無を確認したところ、上放れを果たしただけに、上昇モメンタムの加速や高値更新も規定路線であった。

さらに、米ドル全体(ドル指数)の上昇と相まって、米ドル/円の上昇はリード役を発揮している側面も強い。米ドル/円の上昇モメンタムの強化は、ユーロなど外貨より円の下落スピードの速まりを示唆しており、またクロス円における間接的な円高圧力(外貨安による圧力)が米ドル/円に波及しにくい側面も示され、米ドル/円にとって上値を追う展開になりやすい時期であると言え、先週の高値更新はその一環とみている。

高値再更新を果たす前に、10月4日安値の110.82円と8月11日高値の110.81円に合致しており、変動レンジの上方修正を示唆、また「倍返し」の計算では、まず112円半ばまでの上値トライを示している。7月高値~8月安値の変動レンジで考える「倍返し」なら、114円大台乗せを示唆している。

すでに2020年高値のブレイクを果たした以上、2018年高値の114.56円まで実質上大した抵抗が存在しない。2018年高値のトライや再更新は、例え一直線に達成できなくても、規定路線である以上、もはや時間の問題だとみている。

米ドル高の受け皿は、本来メインのユーロの役割が大きいが、年初来米ドル/円のリードが鮮明であり、9月後半から一段とその重要性を増してきた。主要外貨のうち、円は最弱であり、米ドル高基調の継続で円がさらに売られやすく、多少の「売られ過ぎ」の兆しがあっても円売りの一服になるとは限らない上、「売られ過ぎ」だからこそさらに売られる可能性のほうが大きい。強気スタンスは不変であり、場合によっては高値追いも一手としてあるだろう。

豪ドル/円 日足  

週間予想レンジ:81.50~84.00

メインストラテジー:押し目買い

・豪ドル高より円安
・切り返しを拡大
・上値志向が強まる

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週大幅上昇、目先の続伸で9月3日高値の82.14円でブレイクを果たし、新たな上昇段階を示唆した。豪ドル高より円安の側面が大きいが、目先のブル基調の強まりで一段と上値トライしやすく、高値を追う展開が想定される。

もっとも、先々週の小幅続伸は、基調を一段と改善したところが大きく、10月1日に一旦80円関門を割り込んだものの、当日切り返し、80円関門前後におけるサポートを示唆していた。その後9月28日に高値を更新、9月22日の安値78.82円を起点とした上昇波の延長を示し、中段保ち合いから再度上値トライの機運を高めた。そのため、先週や目先の高値更新は自然の成り行きであり、中段保ち合いの上放れを果たしただけに、結果として上値トライしたことは当然であるとも言える。

もっとも、切り返しの起点は8月の安値打診にあった。8月安値の77.89円の打診をもって中期スパンにおける下落一服があれば、9月3日高値の82.14円までの切り返しは、少なくともスピード調整の一環として位置付けられ、米ドル/円の上昇モメンタムの加速もあって、基調の一旦改善が図れるため、切り返しの継続や上値余地の拡大は想定通りの展開だったと言える。

目先の高値トライ、また9月3日高値の82.14円のブレイクがあってまずジグザグ変動パターンを構築し、N字型変動パターンなら83.07円前後をトライ、さらなる延長に繋がるだろう。

日足では、重要な分岐点の役割を果たしたのが7月6日の陰線であり、同日の足型は、「弱気リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯し、事実上の「ダマシ」のサインであっただけに、その後の大幅続落をもたらし、また8月安値につながったが、切り返しの継続で同日高値への「全値戻し」が図られる可能性が高まっている。同日高値の84.22円を鑑み、84円関門の一旦トライがあっても許容範囲内だろう。

さらに、一気に82円関門乗せで地合いを大きく改善したため、日足では8月安値を「ヘッド」と見なした「三尊底」といったフォーメーションに近い形状も読み取れる。この意味合いにおいては、しばらく豪ドル高/円安の進行局面が続き、想定より早い段階で84円関門の直接トライさえ想定される。82円後半~83円関門前後における抵抗ゾーンがあるものの、総じて脆く、トライがあれば一段と続伸しやすい地合いとなるだろう。

その半面、すでに上放れを果たした以上、戻り待ちに戻りなし、といったリスクのほうが大きいだろう。81円半ば~同後半における支持ゾーンは、何らかの材料なしでは安易に下回れず、また大した押し目なしの続伸が有力視される。言い換えれば、上昇モメンタムの加速はむしろこれからだと思う。

豪ドル高より円安の方が強い要素であったことは前述の通りだが、豪ドル自体の材料もしっかりある。商品相場の高騰で商品通貨とされる豪ドルにとって大きな支援材料は、市場における豪ドルのショートポジションが過大に積み上げられただけに、逆に踏み上げられやすく、一時的にせよ、豪ドルの急伸もあり得る。豪ドル対米ドルの底打ちは、またじわじわ基調の改善もあって、豪ドル/円にとって一層弾みが付きやすいことを示唆しているため、しばらくは強気スタンスで臨みたい。