東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて5日続落となりました。217円安の29,235円で寄り付いた日経平均は取引開始から40分余りで58円安の29,393円まで持ち直しましたが、戻し切れないと下げ幅を大きく広げ10時50分に615円安の28,837円まで下落し590円安の28,861円で前場を終えました。
603円安の28,849円でスタートした後場の日経平均はさらに下げ幅を広げ13時過ぎに771円安の28,680円まで下落した後やや持ち直しましたが結局681円安の28,771円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇した一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。
2.個別銘柄等
楽天グループ(4755)が3.2%高となりました。傘下の楽天銀行の上場準備を始めると発表したことで新規株式公開(IPO)による資金調達で財務内容が改善するとの期待から大幅高となりました。東芝(6502)も3.1%高となりました。物言う株主として知られる米エリオット・マネジメントが東芝株を積み増し主要な株主になったと伝わったことが材料視されました。
また、イーブック(3658)も韓国ネイバーの子会社が4,750円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したことで6.1%高となり上場来高値を更新しました。上期決算を発表したカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)も一時7.6%高となり年初来高値を更新しました。電子商取引(EC)などが好調で営業黒字を確保したことが好感されました。
一方でSUMCO(3436)が一時7.5%安となり年初来安値を更新しました。最先端の直径300ミリメートルの半導体シリコンウエハーを増産する設備投資に充てるため国内外向けの公募増資などで約1300億円を調達すると発表したことで需給悪化や1株利益の希薄化を懸念した売りで大幅安となりました。西武ホールディングス(9024)も一時4.2%安となりました。緊急事態宣言の延長や東京五輪・パラリンピックが無観客開催になったことなどで想定より鉄道やホテルの利用回復が遅れたことなどから上期の営業損益の見通しを30億円の黒字から50億円の赤字に下方修正したことが嫌気されました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は681円安となりました。取引開始前の8時50分に発表となった日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス18と前回調査のプラス14から改善し市場予想も上回りましたが、昨日の米国市場でダウ平均が550ドル近く下げたうえ、時間外の米株価指数先物も大幅下落となったことから大きく下げ幅を広げました。
節目の29,500円や25日移動平均線を割り込んだ翌日に大幅安となり節目の29,000円も下回ったことから下値への警戒感が一段と強く意識されそうで、週明けも下げが続いた場合には200日移動平均線(28,669円)を維持できるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の21時30分には8月の米個人所得と米個人消費支出(PCE)が発表されるほか、23時には9月の米ISM製造業景況感指数や9月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値などが発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)