東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は小幅に反落となりました。29円高の30,277円でスタートした日経平均は直後にマイナスとなりましたが、17円安の30,231円で下げ渋ると直ぐにプラスに転じ取引開始から5分余りで165円高の30,414円まで上昇しました。その後伸び悩むと9時30分過ぎにわずかにマイナスとなる場面もありましたが、底堅さをみせると持ち直し109円高の30,358円で前場を終えました。
69円高の30,317円でスタートした後場の日経平均は上げ幅を縮めマイナスに転じ13時50分過ぎに51円安の30,197円まで下落した後持ち直すと先週の終値を挟んで小動きとなり結局8円安の30,240円で取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。
2.個別銘柄等
政府が新型コロナウイルス対策として東京や大阪など19都道府県に発令中の緊急事態宣言を今月30日の期限で解除する方針を固めたと伝わるなかJR各社や空運株が高く、JR東日本(9020)が3.3%高、JR東海(9022)が4.1%高、JR西日本(9021)が3.3%高、JR九州(9142)が5.2%高となったほか、日本航空(9201)が3.3%高、ANAホールディングス(9202)も4.2%高となりました。旅行関連も高くHIS(9603)が8.3%高となり年初来高値を更新し、オープンドア(3926)も5.0%高となりました。
居酒屋関連も買われ串カツ田中ホールディングス(3547)が4.1%高、鳥貴族ホールディングス(3193)も一時5.5%高となり揃って年初来高値を更新しています。緊急事態宣言の解除への期待に加え、10月から入園チケットの価格を変更し大人の1日券の最大料金を現行の8,700円から9,400円に引き上げると発表したこともあってオリエンタルランド(4661)も買いが優勢で一時3.3%高となる場面がありました。
また、ノリタケカンパニーリミテッド(5331)が一時15.1%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。自動車や通信分野向けの電子材料の需要が増加していることなどから通期の営業利益の見通しを65億円から90億円に上方修正したことで買いを集めました。さらに目新しい材料はないもののトヨタ(7203)が一時2.5%高となり6月16日に付けた上場来高値を更新し、外資系証券が目標株価を引き上げたことで日立(6501)も一時6.3%高となり年初来高値を更新しています。
一方で国内大手証券が投資判断を引き下げたことで業務スーパーを展開する神戸物産(3038)が7.7%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は8円安となりました。政府が緊急事態宣言を解除するとの観測が強まったこともあって上げ幅を三桁に広げる場面もありましたが、先週末の米国市場が小幅に高安まちまちとなるなど新たな買い材料に乏しいこともあって伸び悩むと小幅に下げて取引を終えました。
下げ渋ったことで先週末に大幅高となった堅調な地合いは維持しているといえそうですが、こうしたなかで権利付き最終売買日である明日は配当狙いの買いや、引けにかけて先物に株価指数に連動して運用する機関投資家による配当の再投資の買いがみられるかがポイントとなりそうです。
なお、今週から小売り企業を中心とした2月決算企業の上期決算が徐々に本格化しますが、本日も引け後にあさひ(3333)やしまむら(8227)が決算を発表する予定です。また、日本時間の21時30分には8月の米耐久財受注額が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)