【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 34,879.38  ▼151.69 (9/9)
NASDAQ: 15,248.25  ▼38.38 (9/9)

1.概況

米国市場は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて空運各社が7-9月期の売上高見通しを一斉に引き下げたことなどで景気回復の鈍化が懸念されたことや、バイデン米政権が薬価引き下げの包括案を発表し薬品株が売られたことも重荷となり続落となりました。17ドル安でスタートしたダウ平均は直ぐにプラスに転じると米新規失業保険申請件数の改善を受けてまもなくして168ドル高まで上昇しましたが、買いが続かずマイナスに転じ午後に入って183ドル安まで下落すると結局151ドル安の34,879ドルで取引を終え4日続落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も38ポイント安の15,248ポイントとなり続落となりました。

2.経済指標等

先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比3万5000件減の31万件となり市場予想を上回る改善となりました。また、欧州中央銀行(ECB)理事会は新型コロナウイルス対応で実施している債券購入の減額を決め今後3ヶ月間のペースをこれまでの2四半期より適度に低いペースにするとしています。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち不動産やヘルスケア、生活必需品などの8業種が下げ、不動産が2%を超える下落となり、ヘルスケアも1%以上下げました。一方で金融とエネルギー、素材の3業種が上げています。

4.個別銘柄動向

バイデン米政権が薬価引き下げの包括案を発表したことで薬品株が安く、ダウ平均構成銘柄ではアムジェン(AMGN)が2%を超える下げとなり下落率トップとなったほか、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)とメルク(MRK)も2%以上下げています。また、ダウ平均構成銘柄以外でもバイオ製薬のバイオジェン(BIIB)が6%を上回る下げとなり、イーライ・リリー(LLY)も6%近く下落しています。一方でバイオ製薬のモデルナ(MRNA)が新型コロナウイルスワクチンの追加接種(ブースター接種)とインフルエンザワクチンの接種が1回で済むワクチンの開発に着手していると明らかにしたことで8%近く上げています。

また、新型コロナウイルス感染拡大を受けて7-9月期の売上高の見通しを引き下げたものの業績悪化は一時的との見方から空運株が高く、アメリカン航空グループ(AAL)が5%以上上げ、デルタ航空(DAL)も3%を超える上昇となりました。

5.為替・金利等

長期金利は0.04%低い1.30%となりました。ドル円は109円台後半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場が小幅な下げに止まったことから堅調なスタートが予想されます。こうしたなか本日は3ヶ月に一度のメジャーSQで寄り付きの動向が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)