東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は8日続伸となりました。日経平均は96円安の29,819円で寄り付くと直後に129円安の29,787円まで下落しましたが、直ぐに切り返し取引開始から10分弱でプラスに転じ上げ幅を広げると11時頃から一段高となり11時10分過ぎに325円高の30,241円まで上昇しました。

やや上げ幅を縮め245円高の30,161円で前場を終えた日経平均は168円高の30,084円で後場をスタートさせると12時40分過ぎに84円高の30,001円まで弱含みましたが、30,000円の大台を割ることなく踏み止まると再び上げ幅を広げ結局265円高の30,181円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇し、日経ジャスダック平均は年初来高値を更新しています。

2.個別銘柄等

米半導体大手のインテル(INTC)が欧州に半導体工場を2カ所建設すると発表したことを受けて半導体製造装置株が堅調で、レーザーテック(6920)が7.2%高となり上場来高値を更新したうえ、東京エレクトロン(8035)も2.3%高となりこちらも上場来高値を更新しています。

また、政府が新型コロナウイルスのワクチン接種進展に合わせ10月以降、段階的に行動制限を緩和する方針を固めたと伝わったことで旅行関連株も高く、エアトリ(6191)が8.4%高、オープンドア(3926)が6.5%高、エイチ・アイ・エス(9603)も一時2.8%高となり、エアトリは年初来高値を更新しました。行動制限の緩和で外出が増え化粧品などの需要も戻るとの期待から資生堂(4911)も3.2%高となっています。

さらにトヨタ(7203)が車載電池に2030年までに1兆5000億円を投資すると発表したのを受けて電池材料を手掛ける戸田工業(4100)や田中化学研究所(4080)に物色の矛先が向かい、戸田工業が15.0%高、田中化学研究所も8.5%高となり、戸田工業が年初来高値を更新したほか、マザーズ市場でも日本電解(5759)が一時22.0%上昇しストップ高となる場面がありました。

ジャスダック市場でも太陽光発電設備大手のウエストホールディングス(1407)が11.9%高となり上場来高値を更新しました。米アマゾン・ドット・コム(AMZN)と三菱商事(8058)が組んで国内450カ所以上につくる太陽光発電所網の開発をウエストホールディングスが受託すると伝わったことで買いを集めました。一方で国内大手証券が投資判断を引き下げたことでJFEホールディングス(5411)が一時2.7%安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は265円高となりました。昨日までの7日間で2,200円以上上昇していたこともあって利益確定の売りが出て下落してスタートしましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すとプラスに転じ30,000円の大台を回復しました。また、TOPIXもマイナスでのスタートとなりましたが、プラスに転じ連日で年初来高値を更新しています。

売りが先行しながらも直ぐに切り返すなど地合いの強さを感じさせますが、こうしたなかで明日以降さらに値を伸ばし2月16日に付けた年初来高値(30,467円)を上回ることができるかが次のポイントとなりそうです。なお、日本時間の9日午前3時には米地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)