東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は3日ぶりに小幅に反落となりました。36円高の27,768円で寄り付いた日経平均は取引開始から5分余りで165円高の27,897円まで上昇した後伸び悩むと上げ幅を縮め11時20分過ぎにマイナスに転じましたが、31円安の27,700円で下げ渋ると前引けにかけて持ち直し1円高の27,733円で前場を終えました。45円安の27,686円でスタートした後場の日経平均は昨日の終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり結局7円安の27,724円で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に上昇となったほか、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
日本製鉄(5401)が一時5.1%高となりました。トヨタ(7203)が部品会社に卸す鋼材の2021年度下期の価格を上期と比べ1トンあたり2万円程度引き上げる方針で、支給価格の前提となるトヨタと日本製鉄の価格交渉も引き上げで決着したとみられると伝わったことで収益改善を期待した買いが入りました。塩野義製薬(4507)も4.7%高となり年初来高値を更新しました。国内で進めている新型コロナウイルスワクチンの初期段階の治験で1回目接種後の安全性を確認したと発表したことや、開発中の新型コロナウイルス治療薬について2022年3月末までに国内外で1000万人分の生産体制を整える方針と伝わったこともあって大幅高となりました。第一三共(4568)も一時4.5%高となりました。開発中の新型コロナウイルスワクチンについて3回目の追加接種(ブースター接種)用途での治験を検討していると伝わったことが材料視されました。
一方でニトリホールディングス(9843)が8月の既存店売上高が前年同月比で18.5%減となったことで一時3.3%安となりました。また、コロワイド(7616)も公募増資などにより最大で約220億円を調達すると発表したことで需給悪化や1株利益の希薄化を嫌気した売りが出て10.1%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は7円安となりました。昨日の米国市場が新型コロナウイルスワクチンの普及を期待した買いで続伸となり、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことから買いが先行しました。しかし、朝方の買い一巡後に伸び悩むと昨日と一昨日の2日間で700円以上上げたこともあって利益確定の売りが出て下落に転じました。本日は25日移動平均線(27,653円)を前に下げ渋りましたが、27日に米ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え様子見となりやすいなかで明日と明後日も引き続き25日移動平均線を維持できるかがポイントとなりそうです。なお、日本時間の21時30分に7月の米耐久財受注額が発表される予定です。また、25日の米国ではセールスフォース・ドットコム(CRM)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)