インデックス運用はアメリカのバンガード・グループが1976年に初めてファンドとして開始した運用手法です。登場した当初は斬新過ぎるコンセプトが理解されず、すぐに消えて無くなると思われていました。

シェア拡大に伴い批判も増えるインデックスファンド

ところが、予想に反して残高は拡大し、今や機関投資家の運用はインデックス運用が主流になり、個人投資家の間でもインデックス運用を支持する声が高まっています。

その理由は言うまでもなく、過去の運用実績です。インデックス運用の対極であるアクティブファンドの半分以上は、インデックス以下の運用実績しか出せていません。これは、日本だけではなく世界的な傾向です。

金融マーケットは、市場が「効率的」とされています。株式市場であれば、株価に関するほとんど全ての情報が既に株価に織り込まれており、調査や分析によって他の投資家が知らない情報や運用手法を長期的に持ち続けることは難しく、アクティブに運用しても平均値に勝てないのです。

また、インデックス運用は個別銘柄の調査にコストがかかりません。コスト面でもアナリストやファンドマネージャーが必要なアクティブファンドより有利です。

実際、インデックスファンドの運用コストは、平均で見るとアクティブファンドよりも低くなっています。これも日本に限らず世界的な傾向です。

しかし、インデックス運用の存在感が高まってくると、市場参加者から様々な批判も出てきます。

市場参加者すべてがインデックス運用をすることはない 

インデックス運用が市場で拡大するに連れて懸念されるのが、投資家全員がインデックス運用をするようになったら、誰が株価を決めるのかという根源的な疑問です。

インデックス運用が多数派になった結果、市場の価格発見機能が低下することが懸念されているのです。

しかし、もしインデックス運用が更に広がり、価格発見機能が低下して本来的な企業価値と株価の間に歪みが出てくれば、そこにアクティブ運用の収益機会が生まれます。

だから、インデックス運用が拡大していったとしても、マーケット参加者全員がインデックス運用になるという懸念自体、そもそも想定する必要が無いのです。

インデックス運用はただ乗りという批判も的外れ

また、インデックスファンドはアクティブ運用の払っているコストを負担せずリターンを得ている「ただ乗り」だという批判もあります。

しかし、インデックス運用も取引コストを払って市場での売買を行っています。また、インデックス運用の資金が市場に存在することによって、市場に参加する投資家の多様性が生まれ、市場の厚みが増すというメリットもあります。そのメリットをアクティブ運用の投資家も享受しています。売買金額に寄与することで、その分市場の流動性向上に寄与しているのです。

ただ乗りという批判も、必ずしも正しいとは言えません。

インデックス運用はベストではなく「ベター」な運用手法

3つ目のインデックスファンドの批判として、明らかに割高な銘柄であっても、価格が上昇すればインデックスの構成比率が高くなってしまい、追加で高値購入せざるを得ないという問題点を指摘する人もいます。

確かに、最近の米国の株式市場では、個人投資家が経営状態に関係なく銘柄を買いあがり、価格を釣り上げるような事態も起こっています。このような銘柄であってもインデックス構成銘柄であれば、時価総額に応じてインデックス運用は購入することになります。

私もインデックス運用に全く何も問題が無いとは思っていません。インデックスの算出方法や、銘柄の選択方法に問題のある場合も存在します。

しかし、資産運用で大切なことは、ベストの方法を望むのではなく「ベター」な方法を選択することです。

一部の例外的な投資家を除いては、やはり金融資産の運用はインデックスファンドを使うのが合理的で、これからも変わらないはずです。これからは機関投資家だけではなく、個人投資家にもインデックス運用が更に広がっていくことになると予想しています。