東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株高を受けて5日ぶりに反発しました。12円高の28,719円で寄り付いた日経平均は直後にマイナスに転じましたが、18円安の28,688円で下げ渋ると直ぐに切り返し10時前には142円高の28,849円まで上昇しました。しかし、上値を追う動きは限定的で上げ幅を縮めると前場は84円高の28,791円で取引を終えました。
83円高でスタートした後場の日経平均は13時過ぎに95円高の28,802円までやや上げ幅を広げた後大引け間際に49円高の28,756円まで弱含みましたが、引けにかけてやや持ち直すと結局76円高の28,783円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
ソニーグループ(6758)が3.7%高となりました。傘下の半導体子会社がスマホや自動車向けに画像センサーの需要が伸びるとみて将来の事業拡大に備えるため熊本県菊陽町で整備中の工業団地の土地取得を同町に申し入れたことが材料視されました。盛岡市に本社を置く地銀の東北銀行(8349)も7.3%高となりました。同じ東北地方が地盤の金融機関を傘下に持つフィデアホールディングス(8713)と経営統合の協議、検討を進めていくことで基本合意したと発表したことで買いを集めました。フィデアホールディングスも9.2%高となっています。
また、一時111円台後半まで円安が進んだことで自動車株が高く、なかでもマツダ(7261)が6.5%高となり年初来高値を更新したほか、SUBARU(7270)も3.1%高となりました。英国で中国系企業と組んで電気自動車用リチウムイオン電池の新工場を建設すると発表した日産(7201)も3.6%高となっています。
一方でクスリのアオキホールディングス(3549)が9.2%安となりました。2022年5月期の営業利益の見通しが2021年5月期の水準を下回り、市場予想にも届かなかったことが嫌気されました。こうしたなかウエルシアホールディングス(3141)やコスモス薬品(3349)などにも売りが波及し、ウエルシアホールディングスが4.6%安、コスモス薬品も3.7%安となっています。さらに外資系証券が投資判断を引き下げたことでレーザーテック(6920)が5.7%安となり、ジャスダック市場ではワークマン(7564)が6月の既存店売上高が前年同月比17.5%減と5月の10.4%増から大幅に落ち込んだことで4.2%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は76円高となりました。昨日の米国市場が新規資金流入の期待から上昇しS&P500株価指数が連日で史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。しかし、一時上げ幅を三桁に広げる場面もありましたが、5日移動平均線(28,828円)を小幅に上回ったところで上値が押さえられると上げ幅を縮めました。後場の値幅が46円に止まるなど日本時間の21時30分に米雇用統計の発表を控えていることもあって様子見ムードが強く積極的に上値を追う動きは限られました。
なお、小売り企業の決算発表が本格化していますが本日も引け後に良品計画(7453)などが決算を発表する予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)