東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。262円高の29,137円で寄り付いた日経平均は直後に298円高の29,174円まで上昇した後10時20分過ぎに117円高の28,992円まで上げ幅を縮めましたが、節目の29,000円を割り込んだところで下げ渋ると持ち直し217円高の29,093円で前場を終えました。233円高の29,109円でスタートした後場の日経平均は12時50分前に242円高の29,117円までやや上げ幅を広げた後14時40分過ぎに172円高の29,047円まで上げ幅を縮めると結局190円高の29,066円で取引を終えています。こうしたなか新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

パナソニック(6752)が4.9%高となりました。保有していた米電気自動車のテスラ(TSLA)の全株式を2021年3月末までに約4000億円で売却したと伝わったことが材料視されました。業務スーパーを展開する神戸物産(3038)も4.5%高となり年初来高値を更新しました。5月の売上高が前年同月比2.8%増となり新型コロナウイルス感染症の感染拡大による内食需要の高まりで商品出荷が大幅に増加していた前年の実績を2カ月ぶりに上回ったことが評価されました。また、外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことでマツダ(7261)が8.7%高となっています。

一方でエーザイ(4523)が4.0%安となりました。昨日は米バイオジェン(BIIB)と共同で開発中のアルツハイマー型認知症の治療薬候補の「レカネマブ」が米食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬(ブレークスルーセラピー)の指定を受けたと発表したことで一時5%以上上げましたが、米製薬大手のイーライ・リリー(LLY)が開発中のアルツハイマー型認知症治療薬候補の「ドナネマブ」が米FDAからブレークスルーセラピーの指定を受けたことから競争激化が懸念され売りが優勢となりました。日本オラクル(4716)も15.0%安と急落し年初来安値を更新しました。2021年5月期の営業利益は前期比で3.0%増益となりましたが、第4四半期の営業利益が前年同期比で5.9%減と減益に転じたことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は190円高となりました。バイデン米大統領が上院の超党派議員グループとインフラ投資法案で合意したと表明したことでインフラ支出拡大への期待が高まり米国市場が上昇しS&P500株価指数とナスダック総合株価指数が史上最高値を更新したことから買いが優勢となりました。最近は節目の29,000円を超えてくると上値が重くなる傾向が目立ちますが、本日も同様の展開で昨日に超えられなかった一目均衡表の雲の上限(28,935円)は抜けてきたものの、75日移動平均線(29,072円)には引けで届きませんでした。こうしたなかで週明け以降に75日移動平均線を超えてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、引け後には高島屋(8233)などが第1四半期の決算を発表するほか、日本時間の21時30分には5月の米個人所得と個人消費支出(PCE)が、そして23時には6月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)