米ドル/円 

週間予想レンジ:109.00~111.00

メインストラテジー:押し目買い

・最弱の円を再確認
・レンジでも上限拡大
・強含みの保ち合い

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週の切り返し、また年初来安値から引かれてきたメイン支持ラインの役割を再確認したことで、強気変動への復帰を示唆した。これまで繰り返し指摘してきたように、円は主要外貨のうち最弱であり、4月から米ドル全体が大きく反落してきたにも関わらず、米ドル対円の強気変動は維持され、主要クロス円の軒並み高値更新もあって、円の最弱の地位に変わりはない。

もっとも、4月に入ってからの大幅反落は、我々の想定範囲内をやや超えたものの、終値でみれば、年初来の上昇幅に対して38.2%反落の範囲に留まり、許容範囲に収まったところが大きかった。スピード調整の一環として許容範囲内なので、切り返し自体もメイントレンドへの復帰とみなし、先週の反騰落は当然の成り行きであった。

5月12日の大陽線は、米消費者物価指数(CPI)の急伸につられた値動きとされるが、同日米ドル/円の上昇幅が明らかに米ドル全体(ドル指数)より大きいため、米ドル反発する場合、円売りが一番仕掛けしやすかった側面を物語っている。日足では、5月3日~同6日罫線で形成した「インサイド」のサインが5月7日陰線で一旦下放れしたものの、5月11日までにまた「インサイド」を形成、その後5月12日の大陽線で上放れを果たした上、その後3日高値108.89円の一旦ブレイクもあって、強気構造を示唆した。要するに、保ち合いがレンジ変動に留まったとしても、変動レンジの上方修正が行われ、ブルトレンドが継続すると思われる。

そもそも5月7日の下放れや、米雇用統計の低調な動きがもたらした値動きだったが、米ドル全体(ドル指数)の急落に比べ、値幅が限定的だったため、米ドル/円の下値余地限定を暗示していた。ゆえに、5月12日の米CPIの急伸により敏感に反応し、強気変動の構造を一段と証明したため、これから順次110円や111円関門のトライにつながりやすいと見ている。

また以前から述べているように、年初来の上昇波が加速され、また8円を超えた上昇値幅を達成してきた分、調整自体がむしろ歓迎される値動きがあり、調整があったほうがより健全な上昇波の形成につながっている。従って、調整完了を確認した後の上昇、ブルトレンドへの復帰を果たしている以上、再度111円関門のトライが想定されやすい。例えレンジ変動の一環として111円台の大台を打診した後再度失速しても、変動レンジの上方修正が有力視される。

米ドル全体の軟調は、当面継続される公算が大きいが、米ドル指数の下落自体が主要外貨の上昇をもたらし、主要クロス円における円売りのモメンタムを強化、またユーロ/円など主要クロス円の高値更新が円売りの流れを証拠付けており、米ドル全体の軟調があったからこそ、円の最弱の地位を一段と証明したわけであり、今週一段と円売りが進行しやすい環境にあるだろう。

繰り返し指摘してきたように、年初来の続伸は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いに非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが長く続く公算が大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクを果たした分、早晩コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、また2020年高値の再更新などで、しばらく米ドル高/円安の流れが維持されるだろう。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:84.50~88.50

メインストラテジー:高値追い

・上放れを確認、上昇余地拓く
・「ダマシ」を再確認、サイン強化
・モメンタムの再強化、加速間近

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週一旦高値を再更新し、その後やや反落したものの、84円関門を維持、ブル構造を一段と強化した。先々週の値動きを踏襲する形で、上昇余地の開拓や上昇モメンタムの再加速はこれからだと見ている。

先日述べたように、先々週続伸や4月20日高値のブレイクをもって上昇波の再開を示唆した。これは言ってみれば、4月20日の罫線が示した「強気リバーサル&アウトサイド」のサインが「ダマシ」であったことが証明され、またブル構造が証明されたことであり、上値を追う環境であることが示唆されたことから、先週の高値再更新は当然の成り行きだった。

2月高値85.48円に対する一旦更新は、2月高値から形成された一旦「頭打ち」を示唆するフォーメーションの可能性を否定し、大型「ダマシ」の否定でブルトレンドへ復帰するのみでなく、上昇モメンタムの一段加速を示唆した。この意味合いにおいて、先週85.82円の高値をトライしてから一旦反落してきたこと自体がややサプライズであり、上値追いの展開はむしろこれからだと思う。

もっとも、3月の一旦高値更新、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性も示唆していた。同サインを重視する形で、高値圏での保ち合い自体を軟調サインの1つとみなし、高値を追うというスタンスに距離を置いてきた。3月の続伸や高値更新は、結局一旦失敗した形となり、モメンタムの低下や保ち合いの先行を強く暗示していたため、4月20日の「強気リバーサル&アウトサイド」のサインが有効ではないかと思われた。

しかし、その後同日に高値84.76円のブレイク自体が大きなサインとして鮮明化した。要するに、同日罫線が示した意味合いが「ダマシ」となり、前記見方を否定する上で、かえって上昇トレンドの土台作りにつながっている。言ってみれば、3月高値から時間をかけて高値圏での保ち合いを形成し、4月20日高値の更新をもって同保ち合いの上放れを示し、コロナショック後安値を起点とした上昇波の加速を示唆していた。先週の高値更新は当然の成り行きであり、まだまだ上昇途中と位置付けている。

テクニカルの視点では、「ダマシ」があったほうがより確率を上げ、また蓋然性が高まるとされ、3月高値からの値動きを結局高値圏での保ち合いと見なしたほうが、整合性があると考える。さらに、3月にて2月高値に対する一旦高値を更新し、一旦失敗したようにみえたのも保ち合いの一環として解釈されやすいため、先週の高値再更新はさらなるサインとして鮮明化したわけだ。

2月高値からの保ち合い自体を「トライアングル」のというフォーメーションとみなすため、高値更新をもって上値を追う環境に恵まれた。3月高値からの最大調整幅は約3円なので、その値幅をそのまま上乗せして計算すれば、88円台前半のターゲットを得られるから、しばらく上昇モメンタムの一段加速を覚悟しておきたい。先週高値を更新した後の反落で、84円関門割れを回避したところ、なお許容範囲内にあるため、高値追いはこれからだろう。

要するに、3月高値の一旦更新や失敗したようにみえたのも一種の「ダマシ」のサインであり、高値圏での保ち合いの蓋然性が証明された以上、上値トライまた高値再更新をもって抑えられた上昇モメンタムの再開や一段強化が有力視されるだろう。先週の値動きが力不足であったからこそ、今週の上値追いの展開が一層想定される。