インデックスファンドの人気が高まっている

日本株なら日経平均やTOPIX(東証株価指数)というような、インデックスに連動した値動きを目指すインデックスファンドは、以前は日本の個人投資家にはあまり人気がありませんでした。

その理由の1つは、アクティブファンドに比べ値動きがあまりなく地味で面白味の無い投資商品だからではないかと考えられます。

しかし、つみたてNISAやiDeCoなどを活用する個人投資家が新たに増えてきて、それと共にインデックスファンドの積立を使った資産形成も、少しずつ日本の個人投資家にも根付いてきました。

これはネット証券の投資信託の売れ筋ランキング等を見ると、インデックスファンドが上位に食い込んで来ていることからも分かります。

様々なアセットマネジメント会社がインデックスファンドシリーズを設定・運用していますが、一例として三菱UFJ国際投信が設定・運用するeMAXIS Slimシリーズについて見ていきましょう。

このシリーズに関わらずインデックスファンドシリーズは、株式型のインデックスファンドとして、複数の商品がラインナップされています。

投資初心者向け、1銘柄で世界中の株式にインデックス投資することができる投資信託とは

eMAXIS Slimシリーズの中に米国株の代表的なインデックスであるS&P500に連動した運用成果を目指すeMAXIS Slim米国株式(S&P500)という投資信託があります。米国株の個別銘柄に投資するよりも分散効果がありますが、より大きな分散効果を狙うのであれば、米国だけではなく世界各国のインデックスをカバーするファンドを選んだ方が良いのではないかと思われます。

その世界各国のインデックスをカバーするファンドがeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)です。このファンドは、日本株、先進国の株式、新興国の株式がインデックスで計算された比率で組み入れられています。

直近の配分比率を見ると、日本株6.9%、先進国株80.7%、新興国株12.4%となっています。

このファンド1本だけで、世界中の株式にインデックス投資をすることができる便利な商品となります。特にこれから投資信託を使って株式投資を通じた資産形成をしたいという投資初心者には向いている商品であると思われます。

全世界株式に投資しているインデックスファンドは、地域ごとを投資対象としたインデックスファンドに代替できる

実は、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)から、日本株だけを取り除いたのがeMAXIS Slim全世界株式(除く日本)です。こちらの配分比率は、先進国86.7%と新興国株13.3%となっています。

さらに、日本株、先進国株、新興国株には、それぞれに個別に投資できるインデックスファンドが存在します。eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)、eMAXIS Slim先進国株式インデックス、そしてeMAXIS Slim新興国株式インデックスです。

ここまで出てきたファンドの関係は次のようになっています。

eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
=eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)+  eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)
=eMAXIS Slim先進国株式インデックス+ eMAXIS Slim新興国株式インデックス+ eMAXIS Slim国内株式(TOPIX)

つまり、3つのファンドを組み合わせると全世界株式と同じ投資対象に投資することになります。

中上級者は自分で配分比率を決めよう

投資の中上級者であり、自分でアセットアロケーションを決めたいという人は、日本、先進国、新興国の配分比率を自分で自由に決められる運用手法を採用するのが良いでしょう。

オールカントリー(全世界)といったインデックスに連動するファンドを使うと、便利なのは事実ですが、配分比率が固定されてしまうというデメリットがあります。

配分比率を見ると、新興国株や日本株の比率が低く、先進国比率が高くなっています。その中でも、アメリカ株の比率が極端に高くなります。これはアメリカ株が上昇して時価総額が大きくなっている影響によるものです。このことを踏まえてもカントリーアロケーションについては、自分で調整していった方が良いと思います。

確かに、オールカントリー(全世界)などは、自分でどのようにアセットアロケーションを組めば良いかが分からない投資初心者が活用するには便利な商品です。しかし、実物資産まで組み入れた本格的なアセットアロケーションによる資産運用を行うなら、私は敢えて活用する必要はないと思います。

インデックスファンド、3つのポイントで確認しよう

ここまで、eMAXIS Slimシリーズを具体例として説明してきましたが、他のインデックスファンドが悪いということではありません。競争が激しい資産運用業界では、これからも次々に優れた投資信託が誕生すると思います。

優れたインデックスファンドかどうかの評価基準としては、以下の3つのポイントを確認しましょう。

1.信託報酬という保有期間に応じて発生するコストが低いこと
2.ファンドの残高(純資産総額)が同じ投資対象のインデックスファンドと比較して遜色がないこと
3.資金の流入が安定していること