米ドル/円 日足 

週間予想レンジ:107.50~109.00

メインストラテジー:レンジ取引

・円高より米ドル安
・米ドル指数と連動
・反落一服の時期

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週続落、4月入ってからの大幅反落に続く形となり、我々の想定範囲内をやや超えたものの、終値でみるなら、年初来の上昇幅に対して38.2%反落の範囲に留まり、なお許容範囲内であった。

以前から述べているように、3月最終週でも続伸を果たしたものの、同週後半ではむしろモメンタムの低下が目立ち、スピード調整が想定されやすい状況であった。4月に入ってからの反落もその一環とみなされ、また108円関門割れがあっても同範疇内と想定され、なお幾分下値余地もあったため、107円台前半の打診をその一環とみなしている。

もっとも、年初来の上昇波が加速され、また8円を超えた上昇値幅を達成してきた分、調整自体がむしろ歓迎される値動きがあり、調整があったほうがより健全な上昇波の形成につながっている。言い換えれば、年初来の上昇波は推進波としてなお有力視されているため、調整子波の延長があっても下値余地が一段拡大するとは想定しがたい。

そもそも、4月8日安値109円関門割れで一段下値余地を拡大し、4月8日~12日で形成された「インサイド」のサインやその下放れで108円関門の再トライが示唆されたわけだが、先週の107円台前半の打診をもって同目標の達成につながり、また一時のオーバーも観察された。半面、107.50円割れがあった直後、急速に108円台前半まで一時回復し、「行き過ぎ」だった値動きに対する修正もみられた。

先週末一旦「底割れ」した後でも下落モメンタムが強まれず、目先を含め、107円台後半にて支持を得られる可能性もある。また、仮に更なる下値打診があっても、一旦切り返しが先行される余地があり、一直線な反落が続くかどうかは疑問視される。要するに、調整波の早期終焉もあり得るため、切り返しが先行される場合、まず反落波に対するスピード調整との位置付けで、今週も頭の重さが想定される。109円台という大台の完全回復なしでは、当面中段の保ち合いに留まるのではないだろうか。

とはいえ、底固い構造自体は変らないだろう。繰り返し指摘してきた通り、年初来の上昇波自体が加速されてきた分、元上昇チャンネルの支持ラインがなお健在で、一時108円台の打診や割り込みがあっても107円台の支持がしっかりとみてとれ、安易な下値打診はないだろう。4月に入ってからほぼ一直線な反落が続いてきただけに、仮にこれから下値打診があっても、目先としてはまず反発するタイミングだとみている。

つまる所、また年初来安値を起点とした上昇波が推進波としての構造をより鮮明化するため、3月末まで「買われ過ぎ」の領域に入った米ドル/円に対する修正が急速に展開され、先週までの反落を自然体とみている。とはいえ、ブル構造の再確認、また再構築の段階にあり、これから調整波の延長があっても、メインシナリオとして、米ドル高の流れは相変わらずで、あくまでスピード調整の一環と位置付けられる。

繰り返し指摘してきたように、年初来の続伸は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いが非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが長く続く公算が大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクを果たした分、早晩コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、また2020年高値の再更新などで、しばらく米ドル高/円安の流れが維持されるだろう。従って、今月いっぱいまで調整波の延長があった場合、中期スパン的にはむしろ拾う好機と見なされるのではないか。

4月に入ってから、日足において連続2日の陽線引けがなかった分、調整波の底打ちを認定するのも同基準をもって測れるのではないか。言い換えれば、今週は底打ちのタイミングに差し掛かっているが、鮮明化なしでは油断できない。109円関門~同前半の抵抗ゾーンが目先厚く、一旦底打ちがあっても早期に上放れができない場合は軟調な推移が想定される。クロス円における外貨の頭打ちが鮮明になりつつある状況において、これからクロス円経由の圧力にも警戒しておきたい。

豪ドル/円 日足

週間予想レンジ:81.70~84.00

メインストラテジー:戻り売り

・頭が重い構造継続
・モメンタム失速
・下放れの地合い

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週一旦陰線で大引けしたものの、高値圏での保ち合いに留まり、鮮明化されることはなかった。とはいえ、頭が重い構造を再度証左し、これからのブレイクを示唆するだろう。もっとも、3月第3週以来、高値圏にて値幅限定な動きに終始、先週一旦高値更新してから反落してきたわけで、なおレンジ変動に留まるものの、頭が重い印象を強化していた。

ただし、先週の反落幅に鑑み、状況を早期打破するにはなお力不足であり、ブレイク待ちの状況が相変わらず続いているため、今週の値動き次第では、新たなサインが鮮明化するだろう。そのため、先週と同様、上値追いといったスタンスをなお取れない上、明白なブレイクなしではモメンタムの一段低下を覚悟し、次第に下放れのタイミングに近づくことを念頭におきたい。

以前から述べているように、3月の一旦高値更新は、同月第3週週足をもって達成されたものの、同週陰線で大引け、モメンタムの低下をすでに示唆した。そのため、3月第3週にて一旦82円台前半の下落をレンジ変動における下値拓きとみなした。その後の切り返し、先週の値動きを含め、なお許容範囲に留またため、先週の反落で従来のレンジへ復帰したわけで、上昇継続の可能性が一段と後退した。従って、先週と同様、目先レンジの下限を3月第3週の安値82.28円前後と据え置くものの、割り込めるかどうかは今後の市況を測るのが先決条件となる。

もっとも、3月の一旦高値更新、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性も示唆していた。同サインを重視する形で、高値圏での保ち合い自体を軟調サインの1つとみなし、高値を追うというスタンスで距離を置いてきた。3月の続伸や高値更新は、結局失敗した形となり、モメンタムの低下や保ち合いの先行を強く暗示していたため、先週の反落もあって、新たサインが鮮明化される場合、下放れの蓋然性が高まる。

そもそも豪ドル全体の切り返しは、4月に入ってから大きく挫折されたとはいえ、年初来の切り返しの構造をなお維持しており、今後も再度反発してくると想定される。豪ドル対米ドルの続伸が限定的であることから、豪ドル/米ドルの日足における「三尊天井」の再形成、といった可能性を無視できず、豪ドル/円の高値圏の維持が当面観察されるものの、安易な高値追いはできないだろう。クロス円における外貨次第の流れは、これから一段と強まる見通しだ。

その上、3月末における豪ドル/円の高値再更新に付いて行かなかった分、目先まで豪ドル/円の反落と連携した値幅限定も自然の成り行きであり、これからモメンタムの一段低下があってもおかしくない。そのため、目先の判断は不変であり、引き続き高値圏でのレンジ形成、またレンジの変動幅を拡大させる段階にあり、頭の重い構造がなお続くだろう。また豪ドル/米ドル次第で、82円関門の割り込みがなお警戒される。

2月最終週の陰線では、一旦調整の先行を示唆していたが、2018年高値12月に高値を一旦ブレイクしただけに、更なる上値余地を拡大している。しかし、3月の高値更新後の失速によってまずスピード調整の蓋然性を強め、豪ドルのロング筋も早期の高値突破なしでは次第に利益確定に動く可能性が大きく、先週の反落をその前兆とみなしている。

日足における直近のサインとして、4月20日の値動きが重要となる。同日一旦84.72円まで上昇したものの、当日に大きく反落、83.47円で大引け、さらに84円台半ばといった元抵抗ゾーンのブレイクに失敗した上、4月15日以来の値幅を超えた形の陰線を形成した。これは「弱いリバーサル&アウトサイド」であり、また「フォールス・ブレイクアウト」とも解釈され、今週同日高値の更新なしでは強気変動になれないとみている。

とはいえ、利益確定があってもまず高値圏での保ち合いに留まり、豪ドルの下値余地がなお限定されるだろう。言い換えれば、日足における「三尊天井」のフォーメーション、目先の頭が重い構造を示唆しているが、本格的な形成や下放れはなお疑問視される。一時82円関門の割り込みがあっても、下値を追うような段階にはなり切れない可能性も大きい。さらに、82円関門割れ後の急落があれば、中長期スパンにおける値動きとしてむしろ歓迎されるため、調整変動という位置付けは変わらないだろう。

なにしろ、より長いスパンでみると、ブル構造がしっかり確認されている。2020年8月高値をブレイクした後、上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。

2020年3月コロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。2月の高値トライをあくまで途中とみなし、同フォーメーションの指示なら、2017年高値90.42円への戻りも想定されるわけで、中期スパンにおけるブル構造の継続を有力視したい。そのため、短期スパンにおける頭の重さが確認されれば、あくまでスピード調整の一環として位置付ける。最大80円関門の一旦割り込みを想定しつつ、ベアトレンドへの復帰という見方はないと想定している。