先週、バイデン米大統領が富裕層のキャピタルゲイン課税を現行の20%から39.6%に引き上げる方針が報じられました。投資収入に対して現在課している付加税を合わせると、キャピタルゲインに対する連邦税の税率が最高で43.4%に達する可能性があり、株式市場も含め、金融市場に動揺が走りました。
以前から、株式市場や仮想通貨市場が軟調であったことを考えると、既にこのような情報が一部の関係者内で囁かれていたのではないかと思います。BTC(ビットコイン)はその影響を受けて、500万円付近まで下落し、史上最高値からの下落率が約29%となりました。
また、今朝(4月26日朝)ほど仮想通貨の税制に関する発言もあり、506万円付近をつけたものの、今は切り替えして反発しています。
短期的な底が入ったような値動きです。またBTCは軟調にも関わらず、ETH(イーサリアム)は史上最高値から10%程度安い位置で推移しており、BTCからアルトコインへの資金の流入は顕著です。
前回コラムでもご紹介しましたが、BTCドミナンスチャートは下落傾向が続いています。BTCからアルトコインに資本が向かっていることが分かります。
引き続きこの流れは続くと考えており、5月もアルトコイン中心の相場を意識しながら投資戦略を維持したいと思います。
BTC/JPYはそろそろ下げ止まり、中期的な買い場の到来か
月足陽線アノマリーは達成ならず?
月足チャートです。BTCの4月相場上昇のアノマリーは完全に否定されそうです。(※2016-2020年4月はすべて月足陽線)
4月30日までに陽線に回復するには650万円まで戻る必要があります。ですので、この数日間で、この価格まで戻すには無理があるように思えます。しかしながら、この数日は下げ止まり感を感じさせる値動きとなっており、そろそろ中期的な買い場の到来を感じるタイミングでもあります。
今回は先に、4時間足から見てみましょう。
底が入った値動き
上記は、この3-4日間のチャート形状です。550万円(5万ドル)前後のレジスタンスラインがレジスタンスとなっています。恐らく今朝の反発からすると、下方向へのブレイクは失敗したと判断され、カウンターで高値を超える値動きとなりそうです。
550万円をクリアに超えますと、短期的にボトムアウト示唆となりますので、尚、底堅い値動きになるでしょう
。
4時間足ではMACDもダイバージェンス完成となり、反発しやすい形状です。今週もし、550-600万円で推移すると、再び700万円を目指す展開になるのではないでしょうか。
5月上旬まで500-600万円で推移か?
日足も見ておきましょう。4時間足ベースではボトムアウトしやすそうな形状ですが、日足ですと、まだ少し物足りません。
一旦600万円付近まで反発を見せ、5月上旬あたりに500-600万円をレンジとして底固めしたほうが、後々、上昇トレンド再開の展開が読みやすくなるように思います。
悪材料としては、サウジアラビアやインドなどでBTC取引の規制強化に関する報道が目立ってきています。また、トルコの大手取引所2社が現在取引停止となっているようです。
今回の下落では、このような悪材料が織り込まれつつあるように思います。下値はそろそろ限定的なイメージです。
ETHは、なお史上最高値圏で推移か?
ETH/JPY日足チャートに移ります。トレンドラインが2本引けますが、BTCで安値を更新しない限り、ピンクのラインまで押してくる可能性は低そうです。
日足チャートですので、日数が経過すれば、トレンドラインは徐々に切り上がっていきます。
今週、来週になればなるほど、下値は限定的になるように思います。22-23.5万円あたりを下値の目処に指値注文を置いておく程度をイメージしています。
前回コラム、前々回コラムでもお伝えした通り、個人的には、BTCよりもETH中心のトレードを念頭においたほうが引き続きパフォーマンス的に好結果が望めるように考えています。
では、4時間足で具体的な押し目買いのポイントをまとめておきましょう。
図表6では直近安値のサポートラインを引いています。21-21.5万円で引くことができるため、やはり日足のトレンドラインを考慮すると、ここまで押してくる可能性は低そうです。
そこで今週に限っては、ボリンジャーバンド-2σあたりをタッチするタイミングあたりからのエントリーが良いように感じます。
その理由としては、
・高値圏での揉み合いが続いている
・レンジ相場ということで、ボリンジャーバンドの逆張りトレードが有効ではないか
と考えたためです。
MACDも0.00付近で推移していますので、エクスパンションして下落トレンドに発展するといったことは、余程な悪材料がない限り限定的だと考えています。
冒頭で触れました富裕層に対するキャピタルゲイン税率引き上げについては、バイデン米大統領が4月28日に予定されている米上院下院合同会議での演説で発表するそうですが、まだ提案の段階であり、これから反発も予想され、徐々にこの上限が下がっていくのではないかと思われます。
もともと、民主党の政権公約に掲げていた内容ですし、ゴールドマンサックスのレポートでは最終的にこの税率は28%前後で決着がつくのではないかという見解も見られます。逆にこれはリスクオン材料になる可能性もあるのではないでしょうか。後々、金融市場にショックを与えないために、あらかじめ大きな数字が公表されたのではないかと思います。
私はこの流れは徐々に沈静化する方向で見ています。ですので、BTC・ETHに対しては変わらず上昇目線を堅持しています。
今週もETH中心の投資戦略を維持していきたいと思います。