米ドル/円  日足 

週間予想レンジ:109.00~110.70

メインストラテジー:レンジ取引

・上昇モメンタム停滞
・ブル構造の再構築
・スピード調整の一環

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大幅続伸、一旦111円関門直前まで迫り、続伸を果たした。半面、大陽線で大引けしたものの、週前半の2日に集中、週後半ではむしろ上昇一服、モメンタムの停滞が見られた。年初来の上昇、急速に展開されてきただけに、ここから保ち合いの先行が想定され、高値圏でのスピード調整が有力視される。

もっとも、先々週は大陽線の大引け、先週は強気「リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯していただけに、先週の続伸自体を当然の成り行きとみている。また、2015年高値から引かれたメイン抵抗ラインのブレイクを果たした以上、中長期スパンにおける新たな上昇段階入りを示唆しており、中長期スパンでは、目先なお初歩的な段階にあると推測される。

反面、先週後半の失速は、111円関門打診の直前に行われたため、強気サインの意味合いをそのまま解釈しきれない側面がある。要するに、先々週の強気サインが先週の値動きをもって一旦結果として現れただけに、心理大台に迫る段階において、先々週の強気サインの効果自体も「出尽くし」になる可能性があり、これから早期上値追い、また上昇モメンタムを保てない場合は、一転して保ち合いの先行が想定される。

つまる所、足元は新たな上昇段階に入ったばかりで、このまま大幅な上値余地を拓くより、一旦スピード調整があったほうがむしろ上昇波を健全化させる公算だ。また年初来安値を起点とした上昇波が推進波としての構造をより鮮明化するため、すでに「買われ過ぎ」の領域に入った米ドル/円の一服があってもそれは自然な成り行きと思われ、先週後半の上昇一服をその前兆とみている。とは言え、ブル構造の再確認、また再構築の段階にあり、これから保ち合いの先行があっても、メインシナリオとして、米ドル高の流れは相変わらずで、あくまでスピード調整の一環と位置付けられる。

繰り返し指摘してきたように、109円台の打診やそれ以上の定着は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いが非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後の上昇トレンドが長くなる公算が大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクがあれば、コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、しばらく米ドル高/円安の流れが維持される。

従って、仮に今週値幅限定でも高値圏での保ち合いに留まり、また再度高値更新があってもおかしくない。この場合はコロナショック後の高値(2020年3月高値)111.71円の直接打診があってもおかしくないだろう。

そもそも米ドル/円の上昇は、米ドル全体の切り返しや米長期金利の急伸と連動した値動きで、米ドル全面高の一環として位置付けられる。そのような中、円は諸外貨のうち一番弱い存在で、米ドル全体の切り返しをリードするため、円が受け皿として一番売られてきた。そのような役割が確実に弱くなるまで、しっかりとした値動きを維持できるだろう。109円関門前後は当面の支持ゾーンとして有力視される。

そのため、主要クロス円のブルトレンドの維持や強化で円安の流れは年初来継続され、米ドル/円の下支えとなり、また円安の一段加速をもたらした。米ドル/円における先週の高値再更新は、主要クロス円のなか、英ポンド/円など一部クロス円の高値再更新と連動していた分、強気構造の再確認に繋がった。

一方、英ポンド/円を含め、総じて高値圏での変動を保ちながら、モメンタムの欠如が見られた側面も否定できず、米ドル高の受け皿が従来のように、円のみに集中する状況が変化しつつあることも示唆されている。要するに、円売りトレンド自体が維持されても、モメンタムの一服が目先の現実味を増しているのである。

目先のサインとして、日足において、3月31日から形成されてきた「インサイド」のサインが注目されるだろう。上放れがあれば、このまま111円台後半の打診に繋がるが、先に下放れを果たす場合は、一旦109円台の打診が覚悟される。

いずれにせよ、高値圏でのレンジ変動の一環と位置付け、レンジ自体の値幅が拡大される可能性を否定できないものの、あくまで保ち合いに留まり、またレンジ下限の打診があれば、なお押し目買いの好機と見なせる。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:82.00~85.00

メインストラテジー:レンジ取引

・動意薄で頭が重い
・レンジの値幅拡大
・トリガー待ちも

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

 

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週一旦切り返し、陽線で大引けした。再度84円台半ばの打診をもって基調の維持を示したものの、値幅限定だったことに鑑み、先週の想定範囲内の値動きとなり、今週になって一段と鮮明化が期待される。

言い換えれば、先週の値動きだけでは判断がつかず、直近の動向を総合的にみて判断したい。既述のように、先々週はやや波乱、週足では「十字線」の足型を形成、ザラ場における安値も82円台前半の打診をもって保ち合いの先行を示唆していたことから、先週の値幅限定もその一環と見なされ、動意薄の状況が想定される。

以前から述べているように、3月の一旦高値更新は、同月第3週週足をもって達成されたものの、同週陰線で大引け、モメンタムの低下をすでに示唆したため、先々週の一旦82円台前半の下落はレンジ変動における下値拓きとみなした。先週の切り返しがあったものの、許容範囲に留まったため、ここから早期高値更新をしない限り、頭が次第に重くなり、今週再度レンジの下限にトライする可能性がある。

更に、3月の一旦高値更新、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性も示唆された。2月最終週に高値更新してから反落となり、「スパイクハイ」風の陰線で大引け、一旦頭打ちを示唆しただけに、3月の続伸や高値更新は、結局失敗した形となり、モメンタムの低下や保ち合いの先行を強く暗示していたと読み取れ、先々週の弱気変動に繋がったと言える。そのため、先週の値動きだけでは、このような弱含みの構造を否定できず、大きく続伸しない限り、ここから反落の余地が一段と拡大すると推測される。

そもそも豪ドル全体の切り返しが加速されていたことに鑑み、豪ドル対米ドルの反落がこれから一段と値幅が拡大される可能性が大きい。豪ドル/円による豪ドル次第の側面が大きいことから、豪ドル/米ドルの日足における「三尊天井」の形成を無視できず、先週一旦「ネックライン」の割り込みも見られただけに、現実味がさらに増してきたとみている。

その上、先週豪ドル/米円の高値再更新が示したように、豪ドル/円のパフォーマンスに追随した反発もみられたものの、値幅がなお限定された分、これからモメンタムの一段低下があってもおかしくないだろう。そのため、目先の判断は不変であり、引き続き高値圏でのレンジ形成、といった環境にあるだろう。また豪ドル/米ドル次第、82円関門の割り込みがあっても一応許容範囲内の見込みである。

2月最終週の陰線では、一旦調整の先行を示唆していたが、2018年12月に高値を一旦ブレイクしただけに、更なる上値余地を拡大している。しかし、3月の高値更新後の失速によってまずスピード調整の蓋然性を強め、豪ドルのロング筋もこれからまず利益確定に動く可能性が大きいと推測されるため、早期高値の再更新がないのであれば、従来の見方を維持しておきたい。

とは言え、利益確定があってもまず高値圏での保ち合いに留まり、豪ドルの下値余地が限定されるだろう。メインシナリオとしての豪ドル高/円安の構造がしっかりしており、高値圏での立ち合いが先行される場合は、中期スパンにおいて、むしろ流れを健全化させる側面が大きい。ブル構造自体の維持や再確認に繋がることから、中長期スパンにおける押し目買いのスタンスも維持される。

2020年8月高値をブレイクした後の上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。2020年3月のコロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。2月の高値トライをあくまで途中とみなし、同フォーメーションの指示なら、2017年高値90.42円への戻りも想定されるわけで、中期スパンにおるブル構造の継続を有力視したい。

短気スパンに限り、レンジ取引の一環として高値追いに慎重なスタンスを取りたい。更に、押し目買いに関するタイミングも計りたいところである。先週の上昇幅が早期解消されるなら、保ち合いが一段延長され、今後更なる下限の拡大も想定される。但し、仮に82円関門の割り込みがあっても、81円関門前後における支持ゾーンは、目先がなお厚いとみなし、深押しを回避できる公算だ。

日足では、先週安値で示された83円台前半の支持が重要であり、再度割り込みがあれば、保ち合いの先行や前記下値余地の拡大を覚悟しておきたい。