米ドル/円  日足

週間予想レンジ:108.50~110.00

メインストラテジー:レンジ取引

・目標達成感漂う
・保ち合い先行も
・新たな上昇段階へ

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大陽線で大引け、ザラ場では一旦先々週の安値を下回り、その後大幅切り返し、また109.67円の高値で大引けし、強気「リバーサル&アウトサイド」のサインを点灯した。以前から述べているように、続伸を有力視してきただけに、2015年高値から引かれたメイン抵抗ラインのブレイクを果たした以上、中長期スパンにおける新たな上昇段階入りを示唆した。

反面、先週の大陽線、強気サインを再度点灯したものの、年初来からの上昇波の一本調子の推進もあって、起点や途中ではなく、110円関門打診の直前に行われたため、強気サインの意味合いをそのまま解釈しきれない側面がある。要するに、心理大台に迫る段階において、強気サイン自体がむしろ目標達成感を漂わせており、これから早期上値追い、また上昇モメンタムを保てない場合は、一転して保ち合いの先行が想定される。

つまる所、足元は新たな上昇段階に入ったばかりで、このまま大幅な上値余地を拓くより、一旦スピード調整があったほうが上昇波をより健全化し、また年初来安値を起点とした上昇波が推進波としての構造をより鮮明化するため、すでに「買われ過ぎ」の領域に入った米ドル/円の一服があってもそれは自然な成り行きと思われる。

もっとも、先週述べたように、先々週の陰線引け、一旦高値更新、また値幅限定だったことに鑑み、この一連の流れを上昇途中のスピード調整と位置付けたから、先週の続伸自体も自然な成り行きであった。これから保ち合いの先行があっても、メインシナリオとして、米ドル高の流れは相変わらず、FOMC(連邦公開市場委員会)や日銀の金融政策決定会合での「金融政策の点検」通過後、高値再更新だったこともあって、流れの継続を強く示唆した。

繰り返し指摘してきたように、109円台の打診やそれ以上の定着は、2015年高値から引かれてきた抵抗ラインのブレイクを示し、2015年高値から形成された大型トライアングル型の保ち合いが非常に長い歳月がかかっただけに、ブレイクを果たした後のスパンも長くなる公算が大きい。2020年6月高値109.86円のブレイクがあれば、コロナショック後の高値だった111.72円が射程圏に入り、しばらく米ドル高/円安の流れが維持される。

従って、仮に今週値幅限定でも高値圏での保ち合いに留まり、また再度高値更新があってもおかしくないだろう。先週の足型に鑑み、先週安値の108.40円を安易に下回らず、保ち合いの先行があってもまず高値圏での変動を維持できる公算だ。

前回コラムでも指摘したように、米ドル/円の上昇、米ドル全体の切り返しや米長期金利の急伸と連動した値動きで、米ドル全面高の一環として位置付けられる。そのような中、円は諸外貨のうち一番弱い存在で、米ドル全体の切り返しをリードするため、円が受け皿として一番売られてきた。このような流れが継続される公算は大きいが、すでに役割を十分果たしてきた分、一旦立場が弱まることも想定される。

そのため、主要クロス円のブルトレンドの維持や強化で円安の流れは年初来継続され、米ドル/円の下支えとなり、また円安の一段加速をもたらした。米ドル/円における先週の高値再更新、主要クロス円の高値再更新と連動していなかった分、米ドル高の受け皿が従来のように、円のみに集中する状況が変化されつつあることを示唆した。要するに、ユーロなどの外貨も米ドル高の受け皿として役割を果たし、ポンドや豪ドルなど強気変動を保ってきた外貨も軟調な兆しを露呈しているため、円売りトレンド自体が維持されても、モメンタムの一服が想定される。

とは言え、中長期スパンにおける視点は全く変わっていない。2020年3月高値から形成してきた大型「下落ウェッジ」に対する上放れが「ホンモノ」であり、目先を含め、2015年高値から計算された大型保ち合いの上放れを果たしており、まだまだ強気変動の途中である。年初来の上昇がもはや保ち合いの一環ではなく、新たな推進波とみなす場合、早晩昨年高値112.22円をブレイクできる公算だ。そのため、レンジ取引の先行があっても、押し目買いをメインスタンスとして維持していきたい。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:82.00~84.00

メインストラテジー:レンジ取引

・豪ドル次第で頭が重い
・レンジ変動の拡大
・保ち合いの先行継続

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週やや波乱、週足では「十字線」の足型を形成、ザラ場における安値も82円前半の打診をもって保ち合いの先行を示唆した。前回コラムで見通したように、豪ドル/円は豪ドル/米ドル次第の側面が大きくなり、モメンタムの低下で高値圏における保ち合いの先行が一段と鮮明化されたようで、先週の値動きはその結果や証左とみている。

以前から述べているように、先々週一旦続伸したものの、陰線で大引け、モメンタムの低下をすでに示唆したため、先週の一旦82円台前半の下落はレンジ変動における下値拓きとみる。先々週の反落と総合的にみれば、頭が次第に重くなり、今週再度レンジの下限をトライする可能性が示唆される。

もっとも、先々週の一旦高値更新、2月高値を超えたものの、一転して反落し、陰線で大引けしたことで高値更新自体の「ダマシ」の可能性があった。2月最終週に高値更新してから反落となり、「スパイクハイ」風の陰線で大引け、一旦頭打ちを示唆しただけに、先週の続伸や高値更新は結局失敗した形となり、モメンタムの低下や保ち合いの先行を強く暗示していたと読み取れ、先週の弱気変動に繋がったと言える。そのため、ここからの下値余地は目先なおレンジ変動内に限定されるものの、一段と拡大していくと推測される。

そもそも豪ドル全体の切り返しが加速されていたことに鑑み、豪ドル対米ドルの反落がこれから一段と値幅が拡大される可能性が大きい。豪ドル/円による豪ドル次第の側面が大きいことから、豪ドル/米ドルの日足における「三尊天井」の形成を無視できない。更に、先週豪ドル/円の高値再更新が示したように、豪ドル/円のパフォーマンスに追随した反発もみられたものの、値幅がかなり限定され、モメンタムの一段低下をした。そのため、今週も先週の判断と同様、引き続き高値圏でのレンジ形成、といった環境にあるだろう。また豪ドル/ドル次第で、82円関門の割り込みがあっても一応許容範囲内の見込みである。

2月最終週の陰線では、一旦調整の先行を示唆していたが、2018年12月に高値を一旦ブレイクしただけに、更なる上値余地を拡大している。しかし、先々週の高値更新後の失速によってまずスピード調整の蓋然性を強め、豪ドルのロング筋もこれから利益確定に動く可能性が大きいと推測されるため、先週の「十字線」の足型を鑑みても、今週引き続き弱含みの展開になりやすいだろう。

とは言え、利益確定があってもまず高値圏での保ち合いに留まり、豪ドルの下値余地が限定されるだろう。メインシナリオとしての豪ドル高/円安の構造がしっかりしており、高値圏での立ち合いが先行される場合は、中期スパンにおいて、むしろ流れを健全化させる側面が大きい。

2020年8月高値をブレイクした後の上昇が一段と加速され、また同高値のブレイクによって日足における「三尊底」というフォーメーションの成立を確定しただけに、同フォーメーションの維持がなお大きな影響を果たすだろう。2020年3月のコロナショック時の安値を「ヘッド」と見なした場合、2018年12月安値を含め、複合型「ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム」の成立がより鮮明化される。2月の高値トライをあくまで途中とみなし、同フォーメーションの指示なら、2017年高値90.42円への戻りも想定されるわけで、中期スパンにおるブル構造の継続をなお有力視したい。

短気スパンに限り、押し目買いのスタンスが維持されたとしても、レンジ取引に修正したい。更に、押し目買いに関するタイミングを計りたいところである。先週の値幅の中に留まるなら、保ち合いが一段延長され、今後更なる下限の拡大も想定される。但し、仮に82円関門の割り込みがあっても、81円関門前後における支持ゾーンは、目先がなお厚いとみなし、深押しを回避できる公算だ。

日足では、先週後半にて大きく切り返してきたものの、3月23日の大陰線を否定できない限り、短期スパンにおける頭の重い構造は変わらないだろう。この意味合いでは、84円台前半は一転して抵抗となるため、早期上放れができない限り、今週は慎重なスタンスをもって臨みたい。