東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は3日続落となりました。日経平均は207円高の29,381円で寄り付くと取引開始から20分弱で322円高の29,496円まで上昇しましたが、朝方の買いが一巡すると上げ幅を縮め69円高の29,243円で前場を終えました。さらに弱含み24円高の29,198円でスタートした後場の日経平均は後場寄り後直ぐにマイナスに転じ12時50分過ぎに96円安の29,077円まで下落した後一旦持ち直しました。

しかし、昨日の終値をわずかに上回ったところで上値が押さえられると再び下げ幅を広げ14時には164円安の29,009円まで下落しました。節目の29,000円を割ることなく踏み止まったことで日経平均はその後14時20分過ぎに56円安の29,117円まで持ち直したものの、戻し切れないと下げ幅を広げ結局178円安の28,995円と安値引けとなり節目の29,000円をわずかに割り込んで取引を終えています。

こうしたなか新興市場も軟調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って下落となっています。

2.個別銘柄等

日本精工(6471)が一時3.4%高となり昨年来高値を更新しました。中国で風力発電機に使う大型軸受けを増産すると伝わったことや、ルネサスエレクトロニクス(6723)の工場火災もあって半導体製造装置の引き合いが強まるなかでモーターの回転を横方向の動きに変えるボールねじで注文がメーカーに相次いでいると報じられたことなどが好感されました。しかし、上げ幅を縮め引けは0.3%高に止まっています。ルネサスエレクトロニクスも一時3.4%高となりました。主力の那珂工場で火災が発生し生産再開に1ヶ月程度かかるとの認識を示したことで昨日は5%近く下げましたが、経済産業省が復旧を支援する方針だと伝わったこともあって反発しました。引けはやや上げ幅を縮め2.4%高となっています。

第一三共(4568)も一時3.6%高となりました。国内接種が始まった米ファイザー(PFE)製と同じメッセンジャーRNAという物質を採用した新型コロナウイルスワクチンの治験を始めたと発表したことが材料視されました。ただ、上げ幅を縮め引けは0.4%高に止まっています。

一方で欧州の主要国で新型コロナウイルスの変異種の感染拡大による外出規制が再開されるなか昨日の米国市場でアメリカン航空グループ(AAL)やユナイテッド航空ホールディングス(UAL)が大きく下落した流れを受けて日本市場でも日本航空(9201)とANAホールディングス(9202)が大幅安となりました。日本航空が6.3%安、ANAホールディングスが5.4%安となっています。また、米長期金利の低下を受けて昨日の米国市場で金融株が売られたことでメガバンクも安く、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)が3.2%安、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が2.3%安、みずほフィナンシャルグループ(8411)が1.3%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は178円安となりました。米長期金利の低下を受けてハイテク株に買いが入り昨日の米国市場が上昇し、ナスダック総合株価指数が1%を超える上昇となったことで買いが先行しました。しかし、節目の29,500円を前に伸び悩むと上げ幅を縮め後場にはマイナスに転じました。2日間で1,000円以上も下げた後で自律反発も期待できるような状況のなかで、米国株高といった買い材料もあっったにも関わらず買いが続かず下落となったことで上値の重さが強く意識されそうです。なお、今晩の米国ではパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の米下院での議会証言が予定されています。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )