「20代前半のあなたが今すべきこと(1)~お金を増やすために必要なこと~」で、お話ししたとおり、まず、お金の置き場所を作るが重要です。お金の置き場所を決めたあとにすべきこととして、20代にお金をある程度貯めた方が、30代でどのように資産形成していくのかについて、具体例をフィナンシャルプランナーの岩城みずほさんに紹介いただきました。

貯蓄がないと、どうなる?

先日、私のところに運用のご相談にこられた女性Kさん(32歳)は、22歳で現在の会社に入社をされてから、実家暮らしで未だ独身ということもあって、10年間ずっと決めた金額を貯金されてきたそうです。「現在資産額」は、1000万円ほどになっていました。

Kさんが、老後を安心して暮らすためには、あとどのくらいの貯蓄をすればいいのでしょうか。早速、「人生設計の基本公式」で計算してみましょう。

Kさん(32歳・会社員)
今後の平均手取り年収380万円
年金額(P)114万円
現役年数(a) 27年
老後年数(b)30年
老後生活比率(x)0.7
現在資産額 1960万円(退職一時金の見込額960万円を加算した金額)
必要貯蓄率14.271%

「必要貯蓄率」から算出した毎月の必要貯蓄額は、約4万5000円です。Kさんは、現在、毎月5万円の貯蓄をしているので、目標は達成しています。このままの調子で貯蓄を続ければ、不安を持つことなく自分のイメージする老後を暮らしていけます。

さて、もしも、Kさんに貯蓄の習慣がなく、全くお金を貯められていなかったとするとどうでしょう。「必要貯蓄率」は19.74%に跳ね上がります。

さらに、40歳頃になって、「貯蓄」をスタートするとすれば、「必要貯蓄率」は23.11%になります。毎月約7万3000円もの貯蓄をしていかなければなりません。「貯蓄」は、1日でも早くスタートすることが大切なのです。

適切な資産配分の基本的な考え方

「リスク資産」と「無リスク資産」を、お金の置き場所に適切に振り分け、資産全体で管理することが大切です。

「投資のリスクって何?」に記載の通り、単年度でみると資産クラス別に振れ幅が大きくなる場合があることを事前に理解し、投資・資産運用を行う上では投資対象の地域・資産を分散することを考えるとよいでしょう。

また、もう1つの考え方として私の著書の『人生にお金はいくら必要か』の共著者である経済評論家の山崎元氏の、「リスク資産については、1年後に場合によっては3分の1位損をするかもしれないけれど、同じくらいの確率で4割位利益が出ることもあり、長期間で考えると平均的には無リスク資産よりも年率5%くらい利回りが良くなることもあると考え、投資対象の地域と資産を分散しそれぞれいくらもつかを決める」という方法もあります(『人生にお金はいくら必要か』P154より抜粋)。