20代の方が、今すぐ始めるべきことをファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんに解説いただきます。
20代の方が、今すぐ始めるべきこと
社会人になったばかりの方、無我夢中の日々を過ごし、ようやく仕事のコツを掴んで頑張っている方、後輩を束ねる若手のリーダーとして活躍されている方など、社会人としてのスタートを切って数年という20代前半世代のみなさん。みなさんが、将来お金を増やすために、今、すべきことをお伝えしたいと思います。
お給料がまだ少なくて、貯蓄なんて考えられないと思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、それは非常にもったいない考え方です。みなさんには、たっぷり時間があるのですから、今すぐに「貯蓄」をスタートすべきです。時間を味方につければ、少ない拠出でお金を大きく育てることができるのです。
お金を増やすには、お金の置き場所が重要
お金は、適切な場所に置いておくと、お金自体がお金を稼いでくれるという性質があります。お金も、あなたが働くのと同じように、経済活動に参加して、お金を稼いでくれるのです。これがお金を「運用」するということです。
しかし、運用すれば必ずお金が増えるとは言えませんし、リスクがある資産で運用する場合、損をする可能性もゼロではありません。運用するお金が、株価などの上げ下げによって変動するリスクが嫌だという人もいるでしょう。運用のリスク(不確実さの大きさ)は、それを納得して、リスクを取った方がとらないよりもリターン(お金の増える効率、利回り)が増えて有利だと考える人が取ればいいでしょう。
筆者は、リスクを取らないでいるより、リスクを取った運用をする方が高いリターンを望めると考えていますが、無理にリスクを取る必要は全くありません。その代わり、運用で得る利益に期待ができない分、より計画的に貯蓄をすることが重要になります。
お金の置き場所を作る
お金をより効率的に増やすために、最初にすることは、お金の置き場所を作ることです。まず、みなさんにおススメしたいのは、税制優遇の大きい確定拠出年金制度を最大限に利用することです。
会社に企業型確定拠出年金制度がある人で、マッチング制度を使える方はぜひ利用しましょう。
また、厚生年金だけに加入している人、或は、自営業やフリーランスの方は、個人型の確定拠出年金制度(iDeCo)を利用しましょう。この場合、自身で運営管理機関を選びますが、運用手数料が安い商品があり、管理手数料の安いところを選んでください。
確定拠出年金制度は、税制優遇が大きい、使わないともったいない制度(お金の置き場所)ですが、60歳まで原則お金を引き出すことができないというルールがあります。これを不便だと考える人もいるようですが、逆に言えば、確実に老後のための資金を作ることができるということです。冒頭で、「時間を味方につければ、少ない拠出でお金を大きく育てることができる」とお伝えしましたが、適切にリスクを取って効率的に運用をすれば、複利のチカラで大きく育てることができます。ネット証券等の口座も利用しましょう。
次に利用したいお金の置き場所は、NISA(少額投資非課税制度)です。こちらは現行の制度に加えて、2018年1月から「つみたてNISA」もスタートします。
お金は、あなたの人生を自由にする
まずは、「お金の置き場所」を用意して、毎月決まった貯蓄額を積み上げていくことを実行してください。こうして運用態勢を作ることにより、お金を効率的に増やしていくことができます。時々のモニタリングとメンテナンスをしながら、しかし、日常では、お金のことは忘れて、しっかりとご自分の仕事や人生の重要なことに取り組んでください。
恐らくは、今後の人生において、みなさん、様々な転機を迎えられることでしょう。何かを決断するとき、或は、方向転換をしたいとき、「貯蓄」があるということは、あなたの選択肢の幅を広げます。お金の問題で、何かを諦めたりしなくてもよいように、今からしっかりとお金を貯めていってください。そして、環境の変わるその時々に、「人生設計の基本公式」で計算し直し、お金の計画を立て直してください。