プロの投資家(機関投資家)は情報の収集や分析能力で個人投資家に勝る
銘柄選択によってインデックス(市場の平均)を上回る運用成果を目指すのがアクティブ運用です。
その難しさについては、インデックスに勝てないアクティブファンドの比率が高いことからもよくわかると思います。
投資信託などの過去の運用実績を見ると、運用時期にもよりますが、アクティブファンドでインデックスを上回る運用成果を実現しているファンドは多くの期間で半分以下です。
機関投資家といわれる、いわゆるプロの投資家は、膨大な投資情報を収集でき、分析できるスタッフがたくさんいることから個人投資家に比べ有利な環境にいると考えることができます。
個人投資家は機関投資家には無い強みを持っている
しかし、個人投資家にも機関投資家には無い強みがあり、必ずしも不利とは言えない面もあると思います。例えば次のような点では、むしろ個人の方がプロの投資家よりも有利と言えるのではないでしょうか。
個人投資家の強み1:意思決定が1人でできて早い
プロの投資家は、銘柄選択会議のような合議制で意思決定をすることが多く、資料作成や議論を行う時間が必要で、投資判断を決めるまでに時間がかかります。
個人投資家は自分だけで意思決定できますから、投資判断にかかる時間を短縮することができます。
個人投資家の強み2:銘柄選択の制限がない
ポートフォリオ運用においては、時価総額が小さすぎる銘柄は購入できないといった投資ルールが設定されています。また、コンプライアンス遵守ができていない会社の株を売却したり、不祥事が起こると保有できなくなったりする場合があります。
このような制約は、運用成果を低下させる要因になることが多いのです。
個人投資家の強み3:有力銘柄に集中投資できる
投資信託や年金運用は銘柄分散が原則で、組み入れ上限が設定され、1つの銘柄に大きな比率を配分することができません。集中投資が避けられ、リスクが分散できることは事実ですが、すべての銘柄を丹念に調査する事は簡単ではありません。
個人投資家は、ごく少数の有力銘柄と思われる株式に集中投資することができます。リスクは高くなりますが、正しい分析ができれば大きなリターンにつなげることができます。
個人投資家の強み4:投資期間を長期で考えられる
例えば、年金運用は3ヶ月に1度、委託先に運用報告を行っています。短期で四半期ごとの成果を評価されるので、目先で投資成果が見込める銘柄を選ばざるをえません。
投資信託も月次レポートで運用成果が悪化していけば、資金流入が細っていきファンドの純資産総額が小さくなってしまいます。
個人投資家は、投資の成果が出ない期間が、例え1年以上であっても、持ち続けることが可能です。これは損切りが遅れるリスクにもなりますが、長期で値上がりしていく銘柄をとらえることができればメリットになります。
このような個人投資家の強みを考慮に入れれば、個人投資家がプロの投資家に勝てる可能性は、必ずしも低くないと言うこともできます。
個人投資家の運用の基本はやっぱりインデックス投資
上述の通り、個人投資家は機関投資家に比べ、資産運用において有利な点もあることがわかりました。しかし、インデックスに継続的に勝ち続けるのは、個人投資家であれ機関投資家であれ、アクティブ運用では難しいという結論は変わらないと思います。
やはり個別銘柄で勝ち続ける個人投資家や、インデックスを上回り続けるアクティブファンドは「例外」と考えた方が良いのです。
とすれば、やはり株式のような金融資産の基本はインデックス運用ということになるでしょう。