最近、投資を始めようという方が増えてきたことを実感します。証券会社の口座開設数が増えているだけでなく、暗号資産取引所の口座開設数も増加していると報じられています。

投資に興味を持ち、資産運用を本格的に開始する方が増えた理由の1つは、コロナ禍で在宅勤務が増え、会食や宴会の機会が減り、時間的に余裕ができたためであると思われます。そして、そのような方たちが、その余裕時間で投資の勉強をするようになったことが背景にあるのではないでしょうか。

また、コロナ禍による経済への影響で先行きが不透明になったこともその背景にありそうです。副業を解禁する企業も増えており、副業と同様に資産運用にも積極的に取り組む方が増えてきたように思われます。

根強い「貯金信仰」は変えたほうがよい

一方で相変わらず日本人の間では「資産形成は貯金で」という「貯金信仰」が根強く残っているようにも感じます。「投資=悪いこと」といった考え方を持っている方もいますし、警戒心から投資に消極的な方も珍しくありません。

もちろん、投資にはリスクが伴います。だからと言って、低金利が続く中、預金だけを保有していても資産を増やしていくのは困難だと言えるでしょう。しかもインフレや円安になると「リスクを取らないリスク」が顕在化します。

投資は少額から始めることが大切

「投資は完璧に理解してから始める」という慎重な人がいます。しかし、いくら勉強しても実際にやってみないとわからないこともあるでしょう。勉強に時間を取られているうちに投資の機会損失が生じてしまっては、もったいないと思います。

投資で大切なのは「走りながら考える」という姿勢です。まず少額から始めてみて、徐々に学んでいくということです。金融機関によっては投資信託を100円から購入することもできます。

投資額を1万円として、投資信託を3~4種類組み合わせることにより、ポートフォリオを作ってアセットアロケーションを考えることができます。更に知識を増やして自信がついたら、投資金額を少しずつ増やすことを検討してみてはいかがでしょうか。

もし増やした後の投資金額が100万円なら、投資額1万円で考えたポートフォリオを100倍にすることを基本として、調整していくと良いでしょう。

貯金と投資の適切なバランスは?

「投資は余裕資金で」とよく言われます。私はこれまで生活費の3ヶ月分をキープした上で、残りの資金は全て資産運用に回しても良いとアドバイスしてきました。

ただし、10年以内に明確な利用目的のある資金は積極的な資産運用には回さないようにすべきです。なぜなら、10年以内の投資では元本割れになっている可能性もあるからです。

例えば、貯金が500万円あって、3年後に車の買い替えで100万円使う予定があるとしましょう。毎月の生活費が20万円ならば、3年後に必要な資金(100万円)と生活費の3ヶ月分(20万円×3ヶ月=60万円)の合計160万円を普通預金に置いておく必要があります。そして、残りの340万円で資産運用を考える計算になります。

一方で、今回のような新型コロナウイルス感染拡大といった予想もしなかったことが起こりうる可能性を考慮し、生活費はある程度、余裕をもった額を確保することも重要と思います。キープしておく生活費の金額は、環境や家族構成やライフスタイル等ご自身の状況や考え方に応じて柔軟に判断しましょう。

投資する資産金額を増やす前には、投資の手法についてしっかりと勉強しておきましょう。

私がお薦めするのは、低コストのインデックスファンドを組み合わせて資産を分散させ、月次の定額積立を活用して時間も分散させるオーソドックスな投資法です。まずは少額から始めてみてはいかがでしょうか。(インデックスファンドの積立については、以前のコラムをご覧ください)