通常、上場時期は配当利回りの算出の考慮外
IPOの実施時期は様々です。新規上場後まもなく配当基準日を迎える会社もあります。この場合、IPO銘柄の配当利回りはどう算出するのがよいでしょうか。
例えば、3月期決算で3月31日が配当基準日のヴィス(5071)が東証マザーズに新規上場したのは2020年3月25日でした。2020年3月期の期末配当予想は13.2円で、中間配当はなく、年間配当の予想も13.2円でした。
ヴィスの上場初日の終値は714円で、予想配当利回りは1.84%(小数点以下第3位切り捨て)になりました。予想配当は年間を通してもらえる見込み額です。上場初日に株を買い、配当の権利付最終売買日である3月27日まで3日間保有すると計算上では13.2円の配当の権利が得られる形です。
通常、新規上場銘柄の場合、配当基準日までの日数を年率換算して配当利回りを計算することはありません。3月期決算の会社が3月に上場しようと、4月に上場しようと同じです。ところが、新規上場時に期末配当基準日までの日数を勘案して配当額を設定した会社もありました。
例外事例:ソフトバンク
それは2018年12月19日に東証1部に新規上場したソフトバンク(9434)です。同社は18年11月12日、2019年 3月期の期末配当の予想を37.5円(中間配当はなく年間配当も同額)と開示しました。株式上場から当該期末配当の基準日までの期間が6ヶ月未満であることを考慮し、連結配当性向85%の2分の1程度を目安としたと説明しています。
ソフトバンクの上場初日の終値は1,282円だったので、通常なら配当利回りは2.92%になりますが、2倍の年75円として5.85%の方が実態に近かったことになります。ソフトバンクは2019年5月8日、19年3月期の決算に併せて開示した20年3月期の配当予想額を“公約”に沿って年85円としました。
このように新規上場する会社が期末配当基準日までの日数を勘案して配当額を設定するケースもありえます。