株式分割しても会社の価値は変わらない

株式分割とは既に発行した株式を定めた比率で分割して発行済株式数を増やすことです。株式分割は取締役会の決議、もしくは株主総会の決議で決まります。通常、株主が保有している株式数は特別手続きをせずとも保有数×株式分割の比率で変わります。こうした株式のイベントが発生する時、配当はどうなるでしょう。今回は株式分割と配当の関係について解説します。

東京証券取引所は株式を個人でも買いやすいように投資単位は5万円から50万円という基準を示しています。「単元株」と呼ばれる株式の売買単位は現在、100株に統一されているので、株価は500円から5,000円というイメージです。株価が高くなると、企業は株式を分割して購入に必要な金額を下げたりします。

株式1株を2株に分割した場合、投資家の保有株式数は2倍になります。会社の価値は株式を分割しても変わらないので、株価は理論上、半値になって調整されます。1株当たりの配当額も同時に2分の1に変更されれば配当利回りも変わりません。

例えば、ある会社の株価が10,000円で取引されており、予想配当が年200円とします。配当利回りは2%です。この会社が1株を2株に分割すると株価は理論上、5,000円になります。会社が配当予想を年100円に変えると、配当利回りは2%で変わりません。もし1株当たりの配当を年200円で据え置けば、配当利回りが4%に上昇します。

№1の事例_分割に併せて実質増配のケース

No.1(3562)を例にとって配当利回りを実際に計算してみましょう。同社は2020年10月19日、11月1日を効力発生日として1株を2株に分割するのに伴い、21年2月期の期末配当予想15円を継続すると開示しました。株式分割前に換算すると30円に相当するので実質増配です。

No.1の株価は株式分割で新株を受け取る権利付き最終売買日だった10月28日の終値が3,190円、権利落ち日の10月29日は1,500円でした。

実質増配の発表後、10月28日までは株式分割前なので年間配当予想は中間15円に期末30円を加えて年45円、10月29日以降は株式数が2倍になったので中間配当を7.5円とみなして期末15円を加えた年22.5円で配当利回りを算出します。10月28日は1.41%、10月29日は1.50%となりました。