米ドル/円  日足

週間予想レンジ:102.50~104.50

メインストラテジー:レンジ取引

・年末年始で薄商い
・動意欠け、値動きは限定的か
・ブレイク待ち、仕掛け待ち

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は年末年始で薄商い。先週、市場参加者の急減で、ほとんど取引されていないかと推測される。このような状況は2021年年初まで続き、薄商い故に、逆に仕掛けられ、大波乱になる可能性もあるが、今回に限ってはその確率は低いのではないかと見る。

なにしろ、米国株高、特にNYダウ指数が3万ドル大台に乗せて大引けするような典型的なリスクオンの状況である。そのような中で、所謂「リスクオンの円高」を仕掛けにくく、大幅な円買いさえなければ、波乱があっても「コップの中の嵐」となりやすいかと思う。従って、目先は休みムードで、何らかの特別な材料がない限り、2021年年初まで動かないと読む。

テクニカル上の視点は変わらない。先々週、大幅続落し、一時103円関門を割り込み、102.88円の打診をもって11月安値を更新した。また3月以来の安値を付けたものの、大引けの持ち直しで103円関門の一旦割れ自体が「ダマシ」である可能性を示唆していた。さらに、主要クロス円における「外貨高・円安」のトレンドが継続し、米ドル/円の下値余地が制限されてくると推測されるため、年末年始に波乱がなければ、一層その可能性が増してくる。

とは言え、103円関門割れ自体の意味合いを軽視できないことも既述の通りである。繰り返し指摘してきたように、11月第2週の大陽線の値幅にはらまれる形で、12月第1週まで週足では大きな「インサイド」のサインが形成され、先々週の安値更新で同「インサイド」の下放れを示した。

このままでは再度3月安値に接近しても当然の成り行きと思われ、計算値だけで言えば、101円関門割れも覚悟したい。従って、同サインの下放れが成立するなら、年末年始ムードで目先動かなくても、2021年に下値余地が拡大する可能性がある。

その上、米ドル全面安の流れのなか、主要外貨のうち、円の「出遅れ」が鮮明となり、主要クロス円の堅調さとは対照的に、明暗分けがはっきりしている。このような流れが崩れる場合は、一時的にせよ、円の「取り戻し」、即ち急伸も警戒される。

しかし、米ドル全面安の流れが安易に修正できないなか、目先このような懸念を「全くの杞憂」とまで言い切れないものの、現実味が小さいため、引き続き円の「出遅れ」の状況が維持されることがメインシナリオとして据え置ける。

要するに、あくまで米ドル全面安の一環と理解すべきで、所謂「リスクオンの円高」ではないこと、そして円の受動的な上昇があってもモメンタムが限定的であることが確認でき、年末年始の「試練」をもって一層そのことが確信されるものと思われる。従って、103円以下の大引けを回避できる余地もなお残されていると思う。

繰り返し指摘してきたように、一番重要な視点はドルインデックスとの連動というか、米ドル全面安の流れにあることだ。ドルインデックスは年初来安値を更新しているなか、米ドル/円の保ち合いがあっても弱含みで、103円関門の一旦割れ自体がサプライズではない。

その半面、主要外貨のうち、実は円が一番弱く、主要クロス円における「外貨高・円安」の流れが継続されていることに鑑み、また3月安値との距離をなお保っているため、本格的な円高のトレンドに逆戻りしにくいと読む。ブレイク待ち、また仕掛け待ちの状況であるが、静かな年末年始になりそうな雰囲気である。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:78.00~80.00

メインストラテジー:押し目買い

・年末年始も高値圏の推移
・豪ドル/米ドルのけん引が健在
・年初来高値更新は通過点

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週も堅調。一時77.48円まで調整したものの、再度78.63円で大引け、年末年始でも高値圏で推移を維持した。さらに、77円台半ばにて再度支持を確認したことは想定より浅いスピード調整に留まったことを示唆した。今後の高値再更新や80円心理大台乗せをより期待させる値動きだったと見る。

繰り返し強調してきたように、12月はじめの高値更新が重要だった。12月第1週78.81円の打診をもって年初来高値を更新したことで、新たな段階入りを示し、上値余地の大幅拡大につながった。先週までの堅調さはごく自然な成り行きで、年末年始の薄商いで大した波乱がなく、強気構造が一層証左されたと言える。

週足では11月からほぼ連続して陽線を達成したことも大きい。米ドル全面安が本流と認定できる中、受け皿として豪ドル対米ドルが買われており、上値余地の大幅拡大で豪ドル/円の高値更新をもたらした。年初来高値更新自体も単に通過点に過ぎないため、2021年は新たな上昇ステップに入っていくと見る。先週の調整も浅く済んでおり、年明けから更なる高値トライが想定されやすい。

日足で最も大きなサインは11月9日の急伸であり、メイン抵抗ラインのブレイクをもって内部構造を鮮明に示唆した。従来のブルトレンドへの復帰を果たしたため、その後の高値更新、そして先週までの値幅限定はむしろ想定より遅い。明らかに、米ドル/円の軟調さや下値トライで上昇モメンタムを限定した上、年末年始の薄商いも背景にあった。その反面、豪ドル/円の続伸があっても、全く過熱感を示さず、より健全化されていると思われる。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波と、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクが1つの物差しであった。ゆえに、その後の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆し、またブル基調への復帰を示したと見なされ、年初来高値自体も単なる通過点に過ぎないと認定できる。

既述のように、米ドル/円の下値打診があっても、76~77円関門前後のメイン支持ゾーンを割らない限り、ブル基調の継続が有力視される。実際、先週77円台半ばの支持が確認済となり、強気構造の再確認で、これからむしろ高値トライしやすい環境が整えられていると言える。

8月末高値~10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波と、11月9日大陽線をもってその終焉が証左された以上、年初来高値の更新をもって新たな段階入りを示唆した。そのため、3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長を確実視し、年明けから、早い段階において80円心理大台の打診が想定される。良い年を迎えられる公算である。