東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は続落となりました。日経平均は23円安の26,732円で寄り付くと直ぐにプラスとなりましたが、63円高の26,819円で上値が押さえられると下落に転じ9時50分過ぎには203円安の26,553円まで下げ幅を広げました。その後やや戻し143円安の26,612円で前場を終えた日経平均は189円安で後場の取引をスタートさせると下げ幅を縮め14時40分前に63円安の26,693円まで持ち直しましたが、引けにかけてやや下げ幅を広げると結局103円安の26,652円で取引を終えています。一方でTOPIXが反発となったほか、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。
2.個別銘柄等
トヨタ自動車(7203)が4.5%高となりました。電気自動車の次世代基幹技術として本命視される全固体電池の実用化への動きが官民で加速し始めたとの報道を受けて昨日は電池の電流の流れを左右する固体電解質と呼ばれる素材の生産に乗り出すと報じられた三井金属鉱業(5706)が買われましたが、本日は保有特許数が千超と世界トップで全固体電池の開発で先行しているトヨタ自動車に物色が向かいました。
三井ハイテック(6966)も17.1%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。未定としていた通期の業績予想で前期に6億円超す赤字だった最終損益が今期は19億円の黒字になるとの見通しを発表したことが好感されました。また、エンプラス(6961)が発行済み株式総数の13.59%に相当する150万株を上限とする大規模な自社株買いを発表したことで21.8%上昇しストップ高となっています。さらにIHI(7013)も国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたことで2.7%高となりました。
一方で昨日に急伸したソフトバンクグループ(9984)が利益確定の売りに押され4.7%安となり日経平均を1銘柄で85円近く押し下げました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は103円安となりました。昨日の米国市場が高安まちまちとなり材料に乏しいなかで利益確定の売りに押されました。戻り目途の一つとみられていた1989年に記録した過去最高値(38,915円)から2009年に付けたバブル崩壊後の安値(7,054円)までの下げ幅の61.8%戻し(26,745円)の水準を超えてくると売りが出やすいといえそうです。ただ、本日も下げ幅を縮める展開で押し目買い意欲は依然として強いようで、利益確定の売りと押し目を拾う買いが交錯しやすいなかで年末に向けてどこまで水準を切り上げられるかがポイントとなりそうです。
なお、日本時間の22時30分には11月の米卸売物価指数(PPI)が、そして12日午前0時には12月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。また、週明けの8時50分には日銀短観の発表が予定されており注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)