米ドル/円  日足

週間予想レンジ:103.00~105.00

メインストラテジー:レンジ取引

・ドルインデックスとの連動が続く
・円高ではなく、米ドル安が本流
・「リスクオンの円高」は大袈裟

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

先週、米ドル/円相場は陽線で大引けしたものの、104.77円を一旦トライしてから104.10円で大引けした。週足では「スパイクハイ」のサインを灯し、頭重いことを示唆。もっとも、先々週と同様に、11月第2週の大陽線の値幅にはらまれ、週足では大きな「インサイド」のサインを形成中であり、ブレイク待ちの状況にある。保ち合いの継続があっても早晩ブレイクを果たす見通しで、目先なお下値リスクを警戒したい。

一番重要な視点はドルインデックスとの連動であろう。ドルインデックスは年初来安値を更新しているなか、米ドル/円の保ち合いがあっても弱含みで、これから再度103円関門のトライがあっても自然な流れであろう。その半面、主要外貨のうち、実は円が一番弱く、主要クロス円における外貨高・円安の流れが継続されていることに鑑み、株高の環境における「リスクオンの円高」の見方には同意できない。

すなわち、あくまで米ドル安で円高は受動的であり、主要外貨のうち「出遅れ」が鮮明になった円の上昇があっても限定的で、円の視点のみでは断定できない。この意味において、103~105円といったレンジ内の変動は当面続き、また次のブレイクなしでは断定できない側面も大きい。

とは言え、3月高値を起点とした下落波の進行が続いていることも事実であり、11月23日再度切り返したものの、目先まで一貫して反落し、11月11日からの反落を継承する一環として位置づけられる。このまま下値トライが続く場合は、11月安値の再打診につながり、米ドル安の一環として円の上昇余地があると見るべきであろう。

大幅続落、103.33円の終値をもって3月高値111.72円を起点とした反落の継続を示し、3月安値101.19円を迫る勢いを示した。米ドル安の蓋然性、ドルインデックスとの連動性や株高と「セット」になった値動きとして解釈されやすいが、リスクオン/オフの視点では、従来と異なるニュアンスも読み取れる。

一方、米ドル安は円以外の外貨、特にユーロ、豪ドルが受け皿として買われる傾向も鮮明であり、ユーロ/円、豪ドル/円における「外貨高・円安」の基調は変わらないであろう。米ドル全面安の中、円高の余地があっても限定的なわけは、主要クロス円における円高圧力の共振が確認されていないところである。

日足では、11月9日の大陽線が引き続き役割を果たすであろう。同線が示した意味合い、本格的な下放れなしでは安易に否定されないため、仮に円高の更なる進行があっても、同日安値103.19円を明白に下回らない限り見られないであろう。前記週足における「インサイド」のサインと整合しているので、当面検証の基準として重視したい。もっとも、何らかの材料があって明白な下放れがあれば、「リスクオンの円高」が偽っても、米ドル安の流れが本格化するにつれ、3月安値の再打診もあり得る。

長期スパンでは、3月安値を下回れるかどうかが1つの物差しとなるであろう。現時点で、「3月安値をもって2015年高値から構築されたトライアングル型保ち合いに終止符を打った」という従来の見方をなお維持する。しかし、仮に101円関門割れがあれば、従来のカウントを数え直す必要があっても、2015年高値を起点とした大型保ち合いの延長と見なし、構造上の円高時代への逆戻りはないと見る。

豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:76.00~78.50

メインストラテジー:押し目買い

・米ドル安で、豪ドル高も新たな段階へ
・「リスクオンの円高」は偽り、ブル基調を維持
・年初来高値更新は規定路線、早晩達成へ

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は、先週続伸。76円関門に再度迫り、高値更新を伺える。先々週の一服があったものの、先々週高値以上の大引けをもってブル基調の加速を示し、11月以来の上昇トレンドの継続を示唆した。繰り返しとなるが、米ドル全面安が本流と認定できる中、受け皿として豪ドル買いの一環として豪ドル/円の高値更新も規制路線と見る。

日足では、最も大きなサインは11月9日の急伸であり、メイン抵抗ラインのブレイクをもって内部構造を鮮明に示唆。従来のブルトレンドへの復帰を果たしたと見なし、足元までその継承で上値トライ自体問題ではない。すなわち、本来早期高値更新があってもおかしくないが、米ドル/円の軟調で上昇モメンタムが限定され、目先までなお緩やかな基調を保っている。

とは言え、先々週の小動きを途中の一環と位置付ける場合、米ドル/円と違って、豪ドル/円は11月に入ってからすでに連勝を記録している。そのため、ブル基調へ復帰してきたことがより鮮明であることを無視できない。構造上の見方として、10月高値の更新は重要であったことも記述の通り。11月9日の続伸で10月高値76.54円の一旦ブレイクを果たし、ブル基調の証左と言える。先々週76円前半の支持を再度証明し、これから上値トライしやすい流れは不変である。

言ってみれば、8月31日高値78.47円を起点とした反落波、10月末安値73.13円までの反落自体が典型的なジグザグ構造を示し、同反落を証左するには10月高値のブレイクが1つの物差しであった。ゆえに、その後の続伸や高値トライがあって、ジグザグ調整子波の終焉を示唆。またブル基調への復帰を示したと見なされ、「ここから年初来高値を更新していく」という流れが加速される。

そうなると、仮に米ドル/円の下値打診があっても、76円関門前後の支持を割らない限り、ブル基調の継続が有力視され、また必然的に年初来高値のトライにつながるであろう。従来の抵抗ゾーンが一旦突破されると、一転して支持になりやすいという経験則では、何らかの材料なしでは76円関門を安易に割り込めないかと思う。

11月9日の大陽線は、途中の加速の象徴としてブルモメンタムの維持を示唆。同大陽線が比例されない限り、10月高値の更新が「ホンモノ」と認定でき、また前記ブル構造の維持につながる。8月末高値から10月末安値まで2ヶ月間かかった調整子波が、11月9日の大陽線をもってその終焉が証左された以上、年初来高値の更新はむしろ自然な成り行きであり、3月安値を起点とした大きな上昇波の一段延長を認定できる。当然のように、78円関門や78.47円の打診があれば、心理大台の80円心理大台の打診が射程圏に入る。しかし、米ドル/円次第で、時間がかかることも想定される。

2ヶ月間の調整があったからこそ、3月安値を起点とした大型上昇波がより健全化され、目先は上値追いしやすい環境にあり、「リスクオンの円高」が偽りであることが証明されるであろう。更に、場合によっては、「押し目待ちに押し目なし」のリスクも警戒される。あくまで豪ドル/米ドル次第の視点をより大事にしながら、トレンドをフォローすることに徹したい。