【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 29,157.97  △834.57 (11/9)
NASDAQ: 11,713.78  ▼181.45 (11/9)

1.概況

米国市場は高安まちまちとなりました。ファイザー(PFE)が開発中の新型コロナウイルスワクチンの臨床試験で9割以上の被験者に感染防止効果がみられたとの初期データを発表したことからワクチンの普及で経済の正常化が進むとの見方から景気敏感株を中心に買いが膨らみダウ平均とS&P500株価指数は大幅反発となりましたが、景気敏感株に乗り換える動きからハイテク株に売りが出てナスダック総合株価指数は6日ぶりに反落となりました。ダウ平均は1,144ドル高と大きく上昇してスタートすると直後に1,610ドル高の29,933ドル高まで買われ2月12日に付けた史上最高値(29,551ドル)を上回る場面もありましたが、利益確定の売りが出て昼前には一旦1,000ドル高程度まで上げ幅を縮めました。その後午後に入って1,400ドル高近くまで持ち直したダウ平均ですが引けにかけて上げ幅を縮めると結局834ドル高の29,157ドルで取引を終えています。

また、S&P500株価指数も41ポイント高の3,550ポイントとなっています。一方でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は181ポイント安の11,713ポイントとなっています。

2.経済指標等

主要な経済指標の発表はありませんでした。

3.業種別動向

業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が上げ、エネルギーが14%以上上昇したほか、金融も8%余り上げました。一方で一般消費財・サービスや情報技術などの4業種が下げ、一般消費財・サービスは1%超える下落となりました。

4.個別銘柄動向

ダウ平均構成銘柄は30銘柄中23銘柄が上げました。そのなかでもアメリカン・エキスプレス(AXP)が21%以上上げたほか、ボーイング(BA)とJPモルガン・チェース(JPM)も13%を超える上昇となりました。ウォルト・ディズニー(DIS)とシェブロン(CVX)も11%を超える上昇となっています。一方でホーム・デポ(HD)が5%安となり、プロクター・アンド・ギャンブル(PG)も3%以上下げました。また、ハイテク株が売られるなかでマイクロソフト(MSFT)とアップル(AAPL)が2%前後の下落となっています。

ダウ平均構成銘柄以外では、エーザイ(4523)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について米食品医薬品局(FDA)が治療の有効性に否定的な見解を示したことでバイオ製薬大手のバイオジェン(BIIB)が28%余り下げています。さらに新型コロナウイルスワクチンの承認が近いとの見方から在宅勤務や巣ごもり関連の銘柄が売られ、ビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)が17%以上下げたうえ、動画配信のネットフリックス(NFLX)も8%を超える下落となりました。ファイザーは開発中の新型コロナウイルスワクチンが臨床試験で高い有効性を示したと発表したことで7%以上上げています。

5.為替・金利等

長期金利は0.10%高い0.92%となりました。ドル円は円安に振れ105円台前半で推移しています。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が大幅高となったことで大きく上昇してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の25,000円を上回り大きく上値を伸ばすことになりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)