昨日は米大統領選直前の「ラストサンデー」でした。メディアにあふれる映像は、前回の2016年と変わらぬ盛り上がりですが、その裏で金融の回復の弱さが顕著になっています。
それを象徴するのが米国の「貨幣流通速度」の鈍化です。直近の7-9月の値は1.1程度と、過去最低となった4-6月期から底這いとなっています。この数字は、名目GDP÷通貨流通量(ここではM2ベース)で計算され、GDP1単位を生むのに、世の中のマネーが何回転しているかを表します。いわばおカネがどれくらい活発に経済活動に使われているかという指標です。
新型コロナで分子のGDPが減少しているので、数値が下がっていること自体は自然なのですが、7-9月にGDPが回復している割には、殆ど回復していません。マネーを供給しても、それがあまり回らず、GDPの回復に寄与していない様子が現れています。
前回の大統領選挙当時の貨幣流通速度は1.5程度で、リーマンショック当時は1.9程度ありました。マネーの量は増え続けているのですが、景気の反応は鈍かったことになります。
因みに、日本の7-9月GDPは16日発表ですが、貨幣流通速度の低下は米国以上かもしれません。実感としても、会合類は半分以下に減っていますし、GoToやらマイナポイントやらの各種クーポンもあるので、つくづくお金を遣っていないなぁ、と思います。
ということは、当面の景気回復は、やはり金融政策よりも、財政政策頼みということになります。そのカギを握る米大統領選は、決着まで時間がかかりそうなだけに、市場も、しばらくは全米地図と「赤」と「青」の割合を巡って変動が激しい日が続きそうです。