先週末発表された米CPIは市場予想を上回る8.6%(予想は8.3%)となり、株価を押し下げました。が、これ以上に驚愕だったのは、同日に発表されたミシガン大学による消費者マインド指数でした。先月の58.4から大きく下げ50.2と1978年の統計開始以来最低となりました。市場予想(58.1)との乖離幅も、データが取れる2000年以降で最大でした。高インフレで、実質収入減への懸念が響いた模様です。

つまり、物価動向を市場から眺めている以上に、生活者のマインドにはインフレの痛みが大きい、ということでしょう。ガソリン価格は言うまでもないですが、加えて、鳥インフルエンザにも打撃を受けた卵は30%超、マーガリンなどのオイル系やパンやパスタなどの小麦系はいずれも10%超の値上がりです。毎日のように目にする物だけに、人々のマインドへの影響が大きいのかもしれません。

ミシガン大学の消費者マインド指数は景気の先行指標とされています。確かに過去も、1990年、2001年、2008年などの景気後退期には、消費者マインドの落ち込みが先行しました。

但し、現在のように、CPIの品目や場所によるばらつきが大きい中では、データのブレが普段よりは大きくなっているかもしれません。更に、近年はオンラインなど様々な形でのアンケートが多いので、人々が“サーベイ疲れ (Survey Fatigue)”で、調査にいいかげんに答えてしまう傾向なども指摘されています。

従って、こうした足元のデータの揺らぎが今週のFOMCの決定に即座に影響を与えることはなく、0.5%の利上げでほぼ間違いないでしょう。とはいえ、FOMCメンバーも、消費者マインドの悪化には当然目配りをするでしょう。政策の発表以上に、その後の記者会見のやり取りから、パウエル議長の“マインド”も読みたいと思います。