米ドル/円  日足

週間予想レンジ:104.00~106.00

メインストラテジー:レンジ取引

・保ち合いの基調維持でも頭重い
・クロス円経由かつ受動的な円高圧力
・米国サイドの材料次第で波乱も

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週、小幅反落し、一進一退の状況が続いている。先週106円関門を突破できず、また陰線で大引けしたことに鑑み、中段保ち合いの継続があっても頭重い印象を払拭できておらず、レンジの下限を再打診してもおかしくないであろう。

繰り返し指摘してきたように、円はあくまで外貨次第。主体性がなくなった以上、「底割れ」の回避があっても当面レンジ変動に留まるはずである。従って、106~107円といった抵抗ゾーンを突破できない限り、104~105円といった支持ゾーンの再確認があってもむしろ自然な成り行きとみる。

もっとも、先々週と同様、先週の高値も6月末高値から引かれたメイン抵抗ラインの存在を意識し、上値抵抗を再確認したと言える。上放れできず、またレンジ内へ戻ってきたことは小康というか、中庸状況を示し、米大統領選の結果が明らかになるまで動けないという先週の大局観は維持された。さらにモメンタムの欠如も引き続き観察されることが推測され、先週の値幅限定もその一環とみる。

しかし、値幅限定でも「底割れ回避」自体に大きな意味合いがあった。それは他ならぬ、9月安値の再打診、またその後の切り返しの継続で「底割れ」を回避したこと、また目先まで保ち合いが維持されることである。

すなわち、9月の「底割れ」回避が重要だった。ここで言う「底割れ」とは7月安値を割り込むことを意味するが、9月21日に一旦割り込んだものの、当日陽転、その後もほぼ一貫して切り返しを継続。先々週一旦 106円関門のブレイクを果たし、地合いを一段と改善したことで現れ、先週の反落があっても基本的な見方の修正には至らない。

繰り返しとなるが、所謂「安倍ショック」の8月28日大陰線を下回ったことが大きなサインだった。既述のように、9月15日までの値動きで形成された「インサイド」の下放れを果たし、このまま下値打診を継続してもおかしくなかった。従って、104円関門を維持したところ、逆に新しいサインの点灯につながり、8月28日安値の割り込みがあっても、7月安値の割り込みがあっても、米ドル/円は継続的に下値打診せず、逆に再度 106円関門を一旦回復したところは基調維持における鮮明なサインであった。

もっとも、先週の指摘の通り、短期スパンにおける頭重い状況もテクニカル上の蓋然性として大きかった。8月28日大陰線を「母線」とした「インサイド」のサイン、目先下放れの「ダマシ」を認定するにはなお時期尚早である。106~107円の抵抗ゾーンを早期上放れできない限り、頭重い状況の早期打破はないため、先週の反落も理解されやすい。要するに、前記「インサイド」の大きさに鑑み、一旦下放れがあった以上、8月28日高値の完全回復があっても紆余曲折の公算が大きく、中段保ち合いの継続が有力視されるわけである。

より長い視点では、3月高値を起点として調整波、大型ジグザグ変動パターンと数えられ、6月高値 109.86円から「3月高値~5月安値」の値幅で測る(要するにN字型変動)104.10円前後の下値目途が得えられたわけなので、7月末の安値は同計算値に近く、また7月31日の大幅反騰を果たしたため、N字型変動の完成を示唆していた。そうなると、9月の一時安値更新、またその後の力強い切り返しは同見方の否定ではなく、むしろ強化するサインと見なす。ゆえに、近々支持ゾーンの打診があっても「底割れ回避」自体が維持されるであろう。

クロス円経由の円高圧力があっても受動的で、所謂リスクオン/オフの視点で語られる円の値動きには程遠く、米国サイドの材料次第。一時の変動や波乱があっても基本的に「コップの中の嵐」と化すであろう。引き続きレンジの下限の打診を警戒するものの、あくまでレンジ変動に留まるであろう。しばらく「つまらない」相場の延長を覚悟したいところ。


豪ドル/円  日足

週間予想レンジ:72.50~75.50

メインストラテジー:戻り売り

・豪ドル次第につき、再反落する公算大
・再度75円関門以下に大引け、反落波の拡大も
・9月安値の更新があれば、一段と下落加速

【図表2】豪ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は、先週大きく反落。74.62円の大引けをもって週足では「大陰線」を形成した。先週指摘していたように、豪ドル/円は豪ドル次第につき、再度頭打ちされ、また再反落してくる公算が大きい。先週の大陰線はその証左となり、また続落の余地を拓いたとみる。何しろ、先週の反落自体が、先々週罫線の「ダマシ」を露呈させた可能性があるため、反落波の進行が一層蓋然性を増す。

先週の指摘の通り、先々週の続伸で一旦切り返しの拡大を示唆していた。9月第3週の大陰線に包まれる形で、同第4週の小陽線があったため「インサイド」のサインを点灯。先々週の一旦上放れがあったからこそ、本来一段と切り返しの余地を拓いてもおかしくなかった。

しかし、繰り返し指摘してきた通り、豪ドル/米ドル次第の側面が大きいため、米ドル全体の切り返しが続いている以上、先々週米ドル全体の反落でもたらされた豪ドルの切り返しを過大評価すべきではない。そのため、先々週の続伸があっても途中のスピード調整と見なし、我々のメインシナリオを維持してきたことが正解だったと言えるであろう。

既述のように、77円関門~同前半は目先の抵抗ゾーン、「インサイド」の上放れが本物なら、早期ブレイクを果たすはずだった。すなわち、「早期ブレイクをできない限り、9月安値を起点とした上昇もあくまで切り返しの一環と見なし、「インサイド」の上放れがあっても上値トライの継続がない場合、かえって頭重さが暗示される」という我々の見方の通り、先週の反落で反落波への復帰を示唆したと言える。

前記「インサイド」の上放れがあっても一旦失敗する形となり、再度頭打ちが確認されやすいタイミングにあったため、先週の反落は我々の推測の通りである。またメインシナリオに沿った値動きとなっている以上、今週9月安値の再打診や割り込みを想定しておきたい。

もっとも、9月に入ってからほぼ一貫して切り下げ、9月9日や9月11日の2日を除き、9月25日までほぼすべての取引日が陰線で大引けしたほど一本調子の反落となった。そのため、先々週まで続伸は同下落に対する調整として位置づけられ、先週の反落で途中の調整が完成されたことを示す。そして反落波へ復帰したことも鮮明化されつつある。ゆえに、今週も戻り売りのスタンスで臨みたい。

先週述べた通り、頭打ちが確認された場合は再度安値トライを試し、終値をもって再度75円関門を下回れば、反落波へ復帰するサインと化すため、先週の大陰線や終値に鑑み、同条件を果たすことが分かる。一旦安値更新があれば、72円半ばまで当面たいした支持ゾーンを得られず、今後のターゲットとして浮上しやすいため、近々のトライを覚悟しておきたい。

根本的には、6月、7月高値や 6月12日安値で形成されたフォーメーションが「上昇トライアングル」であったことは重要であった。本来なら、一旦上放れがあったため80円心理大台の直接打診があってもおかしくなかった。しかし、8月末78円台半ばに留まり、その後逆一直線に反落し、更に75円心理大台以下の大引けが一旦確認されたため、前記フォーメーションの消滅のみではなく、同フォーメーションに対する上放れ自体が「ダマシ」であったことを暗示し、これからの下値リスクを示唆する。そのため、メインシナリオとして反落波継続の見通しが維持できたわけだ。先週の再反落は当然の成り行きとみる。

従って、今週「戻り待ちの戻りなし」といったリスクも意識され、9月安値の割り込みで一気に下値トライが加速される市況も想定しておきたいところである。72円半ばのターゲットをトライしない限り、反落波の終焉も安易に見られないため、引き続き下値リスクを警戒したい。

ただし、米大統領選の状況次第で波乱もあり得る。一時的にせよ、材料次第の豪ドル買い(つまり米ドル売り)もあり得る。米国株の堅調もあって、豪ドルの頭打ちがあっても急速な反落が続くとは限らない。豪ドル/米ドルの値動きが限定されるなら、豪ドル/円も緩やかな反落の基調を保てるであろう。値幅が限定されるなら、じっくりとした戻り売りのストラテジーが有効かと思う。