視聴者の数は全てを物語っていない!?

先週(10月12日週)のS&P500は0.19%上昇、ナスダック総合指数も0.79%上昇しました。

大統領選挙まで残すところ後15日となりました。先週米国では第2回目の大統領TV討論会が行われる予定でした。コロナ感染を恐れた米国大統領討論委員会が第2回目のTV討論会はバーチャルで行うと発表すると、トランプ大統領は即座に「これは時間の無駄であり、自分は参加しない」と発表しました。この報道を受けバイデン候補はABC放送で単独のTVタウンホールミーティングを行うことを決定しました。すると今度はトランプ大統領が、同じ時間にNBC放送でタウンホールミーティングを行うと発表しました。正確に言いますと、NBC放送があえてバイデン候補のタウンホールミーティングと同じ時間で放送することを決めたようです。これではトランプ大統領の番組を観るNBCの視聴者は、バイデン候補の話を聞くことが出来ない訳で、このメディアによる判断には多くの批判が集まりました。

討論会の代わりに行われた両候補のタウンホールミーティングにおいて、バイデン候補の番組は全米で1410万人が視聴したと言われています。一方、トランプ大統領が出演したNBC放送では1090万人とのことなのですが、加えてNBC系列局のMSNBC、CNBC放送でそれぞれ180万人、72万人が視聴し、合計で1350万人が視聴したようです。
先週末のプリディクトイットの調査によると、バイデン候補の当選確率は65%、トランプ大統領の方は40%と15ポイントの差があります。
今回バイデン候補のタウンホールミーティングを視聴した方が60万人多かった訳で、ここでもバイデン候補の人気が表れているのかもしれません。

実は、という話がありまして、この視聴者の数は全てを物語っていないのです。
今回のバイデン候補のタウンホールミーティングをABC放送は全米全ての系列局で生中継をしたのですが、NBC放送については一部の系列局で「トランプ大統領のタウンホールミーティングを放送しない」という判断をしたローカルテレビ局があったそうなのです。
これが60万人全ての視聴者の違いを生んだのかは分かりませんが、常日頃からメディアを「フェイクニュース」と敵に回しているトランプ大統領の主張を放送するのを嫌がった可能性も否定できません。

肝心のタウンホールミーティングの内容について、バイデン候補のホストとのやり取りは穏やかな雰囲気でした。その一方、トランプ大統領とNBC放送の女性キャスターとのやり取りはかなり激しいものとなりました。キャスターはトランプ大統領に挑戦的な質問を投げかけ、大統領が反論をすると、大統領の発言中に躊躇なく反論するような場面もあり、トランプ大統領にとっては不利な番組となったという印象を受けました。

大統領選、メディアの論調と株式市場の反応

週末のニューヨーク・タイムズ紙の論調は、「トランプ大統領の再選キャンペーンは第二次世界大戦来の米国の民主主義への脅威であり、国の危機を止めよう」と強い口調となっています。
このようなメディア報道がありますが、米国にはトランプ大統領を支持する多くの有権者が存在するのは間違いありません。というのも4年前の大統領選挙では、大統領候補当選アンケートでは見えなかった多くのトランプに投票した国民達が存在していた訳ですから。

また、メディアの批判に負けるトランプ大統領ではありません。TVタウンホールミーティング後のウィスコンシン州での応援者向けの集会ではトランプ大統領は絶好調に演説を行っていました。トランプ大統領は、明らかに討論会という形式より、集会型のスピーチの方が彼の支持者に上手にアピールすることが分かっています。

現時点では、株式市場の反応も含めて、世間はバイデン候補の勝利を確実視しています。
ここから約2週間の間で、果たしてトランプ大統領が米国の有権者のハートを掴むことができるのか。アメリカの歴史の中でも、また私たち日本人にとっても大変興味深い2週間となっていきます。