東京市場まとめ

1.概況

本日の日本市場は先週末の米国株高を受けて上昇しました。日経平均は187円高の23,391円と前場の高値で寄り付くと10時に98円高の23,303円まで上げ幅を縮めましたが、持ち直すと167円高の23,371円で前場を終えました。163円高でスタートした後場は13時40分過ぎに125円高の23,330円まで上げ幅を縮めました。しかし、14時10分頃から上げ幅を広げ引けにかけて一段高になると結局307円高の23,511円と節目の23,500円を回復しほぼ高値引けで取引を終えています。こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が下落となった一方で、日経ジャスダック平均は上昇となっています。

2.個別銘柄等

ニトリホールディングス(9843)が一時3.5%高まで上昇する場面がありました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請やテレワークの浸透などによる巣ごもり需要の高まりにより国内既存店売上高が大きく伸びたことを受けて通期の営業利益の見通しを1122億円から1329億円へと上方修正したことが好感されました。引けは上げ幅を縮め0.6%高となっています。人材派遣のキャリアリンク(6070)も27.9%上昇しストップ高となり上場来高値を更新しました。主力事業で新規大型案件を受注することができたことで通期の業績予想を上方修正したことで買いを集めました。また、空調や計測制御機器を手掛けるアズビル(6845)も国内大手証券による目標株価の引き上げを好感して8.9%高となりこちらも上場来高値を付けたほか、Zホールディングス(4689)も国内大手証券が目標株価を引き上げたことで5.0%高となっています。

一方でANAホールディングス(9202)が5.1%安となりました。銀行からの借り入れで当面の資金繰りにメドをつけているものの、新型コロナウイルス禍で旅客需要の早期回復は見通せないことから2000億円規模の公募増資を検討していることがわかったと報じられたことで株主価値の希薄化が懸念され売りに押されました。東証2部では東芝(6502)が3.2%安となりました。出資する半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)が東証への上場手続きを延期すると発表したことで、キオクシアの株式売却益を充てるとしていた株主還元への期待が後退しました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は307円高となりました。主力ハイテク株に買いが入り先週末の米国市場が大幅続伸となったことから買いが優勢となりました。また、本日は権利付き最終売買日で配当の再投資と思われる先物買いにより引けにかけて上げ幅を広げる展開となりほぼ高値引けとなりました。明日は日経平均で140円強とみられる配当落ちがありますが、配当落ち分をどれだけ埋めることができるかが焦点となりそうです。なお、今週から2月決算企業の上期決算発表が本格化しますが、本日もあさひ(3333)やしまむら(8227)などが引け後に決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)